渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

鮮烈デビュー、片倉 真由子トリオ

2008年05月27日 | ジャズ・ライブ
停泊地)上野GH9(08.5/19)
メインアーティスト)片倉 真由子(p),高道 晴久(b),倉田 大輔(ds)

Tokyo Jazz Sceneに突如、彗星の如く登場したピアニスト片倉 真由子さんについては、以前、「池田篤と片倉真由子が加わって、・・・」で紹介しました。
このセットでも、勿論、片倉さんの実力は充分発揮されていたと思いますが、ここはひとつ、リーダーライブのピアノ・トリオでじっくりと味わってみたいな、ということで、もう一度上野に参上となった次第であります。

さて本日の片倉トリオの第一ステージは、スタンダードの「It could happen to you」でスタート。わぁ、いきなりドカンとストライクが来ました。
実は、ベテラン・ピアニスト(1936年生まれ)で、ビバップ系の
ホッド・オブライエン/Hod O'Brien という方がいて、日本ではほとんど音沙汰なかったのに、昨年突然「Live At Blues Alley」というライブ盤3部作を発売して一躍ジャズピアノファンの注目を浴びました。(Blues Alleyは目黒ではありません、Washington D.C.ですよ!)
わたしもこの内の、タッド・ダメロン作品をメインに収録した「Third Set」がお気に入りで、とりわけ2曲目の「It could happen to you」の虜になってしまい、通勤時に毎日のように聞いていました。
この曲は、blue Noteに録音したバド・パウエルのバージョンもよく知られてますね。

ということで私にとっては、ポンとご挨拶代わりに名刺を渡されたような感じで、のっけから完全に取り込まれてしまいました。
続いて、大好きなモンクの曲をということで「Reflections」と一曲挟んで、同じくモンク珠玉のバラード「Ruby, My Dear」
イヤー、たまらないです。鋭くエッジがあり、しかも歌心たっぷりのフレージングとコードワークが、モンクの名曲を、鮮やかに描き出し、片倉さんに導かれて、会場全体が独特のプチ・アバンギャルドな世界に包まれていくという感じかな。

最後は、これまた大好きなマッコイ・タイナーにちなんだオリジナル「Blues for Tyner」で一部は終了。
こうなると待ち遠しいのは、勿論コルトレーン・ナンバーですね。
きっと演ってくれると期待した二部の三曲目に出ました。バラード「ネイマ」です。ところが片倉さんのバージョンは、バラードではなくスピーディーにアレンジされた斬新な「ネイマ」。意表を付かれましたが、こういうのもありか、という感じでなかなか楽しいです。

それから留学中に亡くなられたお父様にささげたオリジナルの「Song for my father」。
MCによるとお父様もミュージシャンだったらしく、本当は一緒に競演したかったと話されてました。アメリカで訃報を聞いた時は、ショックで1ヵ月ピアノを弾けなかったと、当時のことを語ってました。
片倉さんは、アドリブのときフレーズを唄わせようとして、ピアノと一緒にスキャットするんです。私の目の前1メートルぐらいで演奏しているので、それがよく聞こえます。曲に合わせて、体中からメロディーを絞り出そうとするのがすごく感じられて、余計に胸に迫って来ます。この美しいレクイエムをハミングしている片倉さんを見たとき、もしかしたら、お父様に語りかけているのかなと考えた瞬間、ドバーっときそうになりました。まあ、ぎりぎりセーフという状態。
ひょっとして片倉さんは、と心配しましたが、勿論完璧に弾ききりました。
MCでも“父に捧げる曲が出来たということは、もう私のほうは心配要りません!”と高らかに宣言してましたね。

そして、最後は又コルトレーンの軽快なナンバー「ロニーズ・ラメント」で締めくくり。

うん、今日は本当にスペシャルな一日となりました。片倉さんのような若いプレーヤーがモンク、マッコイ、コルトレーンといったヘビー級ミュージシャンの音楽をリスペクトして、新しい解釈でしかも飛び切りハイレベルな演奏されているのを観て、すごく頼もしかったですし、単純に刺激的で楽しかったです。
久しぶりに頼もしい新人が登場して来ました。しばらくは目が離せませんね。

今年の夏は、ジュリアード・オールスターズ(Dominick Farinacci(tp)等)の一員として、日本を含めたアジアツアーに参加するそうです。
ちょっと話題になりそうですね。あっという間に、別世界に行ってしまいそうです。

お近くのスモールクラブで、スキャットを聞きながら片倉さんのピアノを聴けるのは今のうちですよ!


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