柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

自殺者数の実態

2008年10月31日 | 
日本の自殺者数は年間に33,000~35,000人と言われています。
年々、その数は増しています。
そして、50代の男性が増えているそうです。

少し前はいじめを苦にした、10代の自殺が多く報道されました。
きっと今も,減少しているわけではないのでしょうが
世の中の景気の悪さと共に、中高年の自殺も多くなっています。

また、インターネットで呼びかけた見知らぬ同士が
一緒に死ぬなんて事は、以前なら考えれません。


この30,000人という数字に実感がわきませんでしたが
ある本に、この数字が取り上げられていました。

ベトナム戦争では、10年間でアメリカ兵が58,000人死んでいます。
日本の自殺者は、たった2年でこの数字を越えてしまいます。
爆弾や大砲等の兵器は使われないのに・・・

まだ、記憶に新しい阪神淡路大震災の死者は6,400人です。
この規模の地震が1年に5.5回来ると
日本の1年間の自殺者数に匹敵するのです。

そう考えると、すごい数なのが判ります。

でもこの本には、その先が書いてありました。
自殺未遂者はその10~20倍にのぼると推定されるそうです。

2003年の行方不明者は102,000人を越えるそうです。
その中にも、遺体が発見されない自殺者が多く含まれている、というのです。

この数字を改めて考えると、自殺をした人の周囲では
一体どれ位の家族や、恋人や友人が苦しみを味わっているのでしょうか?
自殺は、どんな理由があるにしても
罪作りです。

私達は、自殺をされた方の葬儀もお手伝いをします。
親族に知らせるより先に、葬儀社に駆けこんで
「どうしたらよいのか?」
「他の人には知らせたくないのだが」
そんな、不安を持ち込まれます。

自殺者を出した家族は戸惑い、自分を責めています。
親が自殺した子供は、例え他に理由があるにせよ
「自分が悪い事をしたから、親が自殺したんだ、自分のせいだ」と
その前にあった出来事から、自分の非をこじつけて、自らを責めます。

私は忘れられない喪主がいます。
おばあちゃんの葬儀を受けたご家族でしたが
次の年、奥様の葬儀依頼がありました。
奥様は自殺でした。

ご主人はまだ、会社にお勤めされていて
会社関係の方々が多く見えました。
皆様は喪主に
「2年も続けて葬式じゃ、大変ですね」と
声をかけていましたが、ご主人は
「イヤー、参りましたよ・・」と明るい声で対応されてました。

葬儀が終わって、事務所に来られ
「お世話になりました」といいながら
参った、参った、という感じで笑っていました。
そこに居た、葬儀スタッフ達は
影で「奥さんが自殺したというのに、笑ってるご主人は変だよ。おかしな人だ」
と言うのです。

私はこのご主人が、気の毒で見ていられませんでした。
ご主人は、居場所が無いように見えます。
でも、喪主ですからいなくてはいけない人です。
会葬にきた同僚や部下や上司になんて答えたらいいのか
困っているように見えます。
だから、笑いながら話しているのだ
・・・そう見えてくるのです。

辛いから、笑うしかないじゃないか。

こういう悲しみ方もあるのだと、初めて知りました。
まだ、葬儀社にパート勤めしたばかりの頃です。

どちらが悪いのか、原因は何なのか、
他人が詮索できる物でありません。
まして、葬儀社の人間が勝手な解釈をしてはいけないのです。

先の本に
現実に戦争はなくても、私達は「心の戦争」の時代に生きている。
との一節があります。
五木寛之の「天命」で、この本の冒頭の一部分です。


単に、年を終えて死を迎える葬儀ばかりではないのですね。



最新の画像もっと見る