柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

直葬、家族葬はいい葬儀???

2009年12月26日 | 葬儀の世界
直葬。
人が亡くなったら葬儀をしないで火葬だけをする

昔から無かった訳ではありません。
身寄りのいない人や生活保護を受けている方は直葬でした。

今は家族がいても、生活状態に問題がなくても
本人や家族の意思で直葬を望む方が増えてます。

葬式の必要を感じない。
故人は家族だけで見送ればよい。
周りには終わってから知らせればよい。

死は家族だけの問題だというのでしょうか?

家族葬も同じような考え方がされます。
家族と故人をよく知る身近な人で見送る。

義理で葬式に来てもらいたくない。
弔問客に気を使うより故人とゆっくり別れたい。

そう考える人が大勢います。

これが葬儀の本質だ。と皆さんが考えているようです。


私は家族に言わない愚痴が一杯あります。
愚痴だけでなく、心配事や秘密の話や馬鹿げた事なども家族には言いません。

親友なら全てを言いますか?
内容によっては、親友にも言わないこともあります。
チョット距離がある人のほうが言い易い事もあります。

その人の存在を家族は知っていますか?
私はそんなことまで家族には言っていません。

私も何人かの、色々な愚痴や相談を受けています。
深刻ではなくても、言えば気が済むようなことです。

ある日、その人が死んでもうお葬式も済んだと聞いたら
私はショックを受けます。
「せめてお別れだけでもしたかった」と思います。
私にはその人の本音が少しだけど見れていたのですから。

実はこのような体験をした人が増えています。
直葬や家族葬が増えているからです。

でも、本人が『私が死んだら家族だけで送ってね』と望んだのです!
そう家族はいうと思います。
そうなんですよ。

ご本人は自分の死を考えた時はそう思うのです。
でも他の人からそうされた時に始めて気がつくのです。

私の周りでも『家族葬』は圧倒的人気です。

その話題の中で、さっきの愚痴を聞いてくれる人の話しをすると
「私も同じ体験がある」という話しが聞こえてきます。

未婚の1人暮らしに友人から、「私の死後はこの部屋はこうして」
「この家具はこうして」と色々頼まれていたグループの友人達。
しかし、その方は突然亡くなり、遠縁の方が来て身寄りが無いから直葬をしたそうです。
グループの友人達に知らせが来たのは全てが終わってから。
別に部屋や家具が欲しい訳ではないが、最後の別れはしたかった・・・と。

又、中学時代の親友が亡くなって、知らされたのはやはり葬儀の後。
知らせて欲しかった、と言ったら、高校時代の友人だけで葬儀に参列したとの事
あなたは高校の同級生じゃないから、と言われてショックだった・・・と

又、1人暮しのおばあちゃんが亡くなった時
遠方に住んでいた息子や娘家族は「もうこの家には棲まないから」と
身内だけで葬儀を済ませました。
しかしこのおばあちゃんの生前に何かと面倒を見たのは近所の人や民生委員。
この方達は「おばあちゃんが亡くなってもお線香もあげられない」と
憤りをぶつけています。

直葬や家族葬が悪いといっている訳では有りません。

死が家族だけの問題だと思うのは早計です。
故人の死を悼む人が知らない人の中にもいることを考えて欲しいのです。
その人に別れる場を作っていたのが葬式でした。

一般の葬儀でも今は縁が濃くなければ弔問は控えます。
やたら大勢集まる葬儀はなくなりました。

葬儀で見知らぬ人から声をかけられ、
亡くなった母親の学生時代の話を初めて聞かされた人もいます。

職場で大人しい父親が若い社員を守る為に上司と喧嘩したと聞いた人もいます。

人の死で、縁のある人が集まり故人の知らない世界を
最後に見られる時間が出来るのです。

葬儀社の方も「人の死と別れ」をもっと真剣に
世間の皆さんに話して欲しいです。
葬儀社の方ほど、別れの場面を一杯見てきている人はいません。

故人の身体があるうちの別れがいかに大事か、
葬儀社の方が一番良く知っているのではないですか?

最近、直葬、家族葬がいい葬儀!と
言われることに真剣に疑問を抱いています。