序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第七場ー2

2019-08-08 16:02:11 | 舞台写真


恋に燃えるアラフォーカップルを見送った範子と恭子ですが、二人とも共通の追憶の中ありました。


恭子 「あら、由美さん達は?」
範子 「今帰ったトコ。・・誰から?」
恭子 「坂口さんからもうすぐこっちに来るって」
範子 「どうだったって」
恭子 「そのへんの事は一切言わないの」
範子 「何でかね」
恭子 「さあ」


恭子 「ねえ、ここの信号、いつ付いたの」
範子 「あんたの生まれて二年ぐらいしてからかね。ここの町内の人と組んで町に談判にいったんだ。この通りにも信号を付けろってね」
恭子 「それで付いたの」
範子 「そう。あの頃は抜け道がなかったからね、この狭い道路に車がビュンビュン通り抜けてた。当時はまだまだ子どもが多かったからね、よく事故があったのよ。ウチが道路に面しているだろう、それでもしあんたが事故にでもあったらってお父さん必死だった」
恭子 「じゃ殆どわたしの為に作った様なものなんだ」
範子 「本当にそうだったんだよ」
     車走音。
恭子 「初めて聞いた、そんな話」
範子 「ゆっくり話す時間なんかなかったじゃないか」
恭子 「そうだね」
     車走音。
範子 「あんたをオタフクに迎えにやったって話したろう」
恭子 「ええ」
範子 「お父さん、三人で一緒の帰り道も大好きだったんだよ」
恭子 「・・・・・」
範子 「肩車して帰って来たあんたを下ろしてわざわざここの信号を渡らせるの、大きな声で通りゃんせを歌いながら。するとあんたも、こう手を上げて負けないで大きな声で歌うの。うれしそうだった、お父さん」
恭子 「なんで手をあげるの」
範子 「手を上げて横断歩道を渡りましょうってあるだろう」
恭子 「ああ、そうか」


範子 「来たのかね」
恭子 「ええ、そうみたい」
     孝雄と良介が来る。


孝雄 「ただいま」


範子 「・・・会えた」
孝雄 「ええ」
範子 「ごめんね、怒ってる」


孝雄 「とんでもない。すごく感謝してます。どうも有難うございました」
     安堵の溜息を吐く範子と恭子。


範子 「・・・そう、そうなの」
恭子 「坂口さん、ご苦労様」
良介 「とんでもありません」
範子 「で、どうだったの」
孝雄 「お蔭様で手術は成功だと医者も言ってくれています」
範子 「ああ、良かったわね」
孝雄 「ええ、本当によかったと思っています」
範子 「話は出来た?」
孝雄 「いや、これといって・・男同士って変なもんですね。病んだ父の顔を見ていたら、胸の中でしこっていたものが溶けていったみたいで、言葉にならないんです。・・・父もそうだったみたいで・・・二人で頷き合っていました」
範子 「そう・・・親子ってそんなものよ」
孝雄 「今晩は父の側に居ようと思います。それを直接御報告したくて坂口さんにお願いして来ました」
範子 「・・・わざわざ有難う」
孝雄 「こちらこそお気遣い戴いて有難うございました」
恭子 「孝雄さん、よかったわね」
孝雄 「うん、恭子ちゃん。有難う」
範子 「早く病院に帰った方がいいわよ。一人だと心細いでしょう、お父さん」


孝雄 「父はまだ夢の中ですよ、でも麻酔が覚めた時に側に居てやりたいんで帰ります」
範子 「そうしなさい。坂口さんご苦労様ですがよろしくね」
良介 「はい。わたしも本当にうれしいです。有難うございました」
孝雄 「じゃ、お休みなさい」
良介 「失礼します」
孝雄・良介出て行く。
     見送る範子と恭子。
範子・恭子 「お休みなさい」

こうして時間の中で一つ一つの懸案が解決の方向に向かって行くのでありますが、まだ此処に残ってますな。
この続きは次回。

撮影鏡田伸幸

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