序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第35回公演「通る夜・2018」第二場

2018-06-19 22:38:03 | 舞台写真
第二場 その一
通夜式も滞りなく終わり、大広間に残っているのは食事をする町内の手伝い方と酔っぱらった組合員ばかりになった。
通夜式の給仕をしていた礼子やかほりも一息つき、事務机の遺影に献杯をする。




亡くなった宗一郎は恩人とも言える人であった。
親しい間柄の新也も遺影に献杯して帰る。


葬儀委員長である昭典が帰ろうとする時、お清めの時間に中座していた美子が寿々子を伴い来る。



美子は寿々子に亡父に線香を上げる為に強引に連れて来たのであった。
昭典にとって実の娘が場違いな格好で線香を上げる所を同じ組合員に見られたくないからと、組合員を帰すまで待てと制止する。


寿々子は違う町でバー菊香のチーママをしていたのであった。
寿々子は父宗一郎とは長年ある事情から没交渉であった。


ある事情とは戦後すぐに霧島製作所を起こした初代の霧島宗徳の時代は朝鮮戦争の特需から高度経済成長と工場経営の黄金期にいたが、寿々子の父の宗一郎の時代はオイルショックから大企業の海外移転など真逆の状態で、工場(こうば)を守るために必死であった。その為長男の一郎は男手として仕事の手伝いなど父との接触はあったものの、早くに母を亡くした寿々子は父との交流を持たない寂しい子供時代を送ったため、父親に嫌われていると思い込んでいた。
その為葬式にも出ないつもりでいた寿々子を美子が強引に連れて来たのだ。
美子や五月が宗一郎の本心を語るが聞き入れようとはしない寿々子。


美子に促され線香を上げに行って初めて父の死を実感する。


其の二に続く。


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