序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第38回公演「美代松物語」物語紹介1

2019-12-09 19:48:16 | 舞台写真
今回行われた「美代松物語」の物語紹介でございます。
道東のある地方都市にあります、創業以来百年を優に越すという伝統ある「老松」を巡る物語でございます。
さて現在の地方都市の抱えている大きな問題、それは人口減少と過疎化でございます。
この市の発展を支えて来た基幹産業の漁業・製紙・石炭の三産業が、炭鉱の廃止と200カイリ問題などから衰退を極め、道東一の歓楽街と言われた市の面影は失せております。

老舗料亭「老松」いえどもその影響を受けない訳はありません。
そんなある日、老松で大きな無尽の会が催されました。
久々の大きな食事会でございます。




時江の娘咲江が得意の踊りでお客様をご接待します。
会は成功の裡に終わりました。



大吉 「女将さん、どうもお疲れ様でございました。お会のご首尾は如何でしたか」
時江 「ああ、万事滞りなく済ます事ができました」
大吉 「そうですか、それはよろしゅうございました。。久しぶりの大きな食事会であっしも力が入りました」
時江 「お蔭さんでね、みなさんも機嫌よくお帰りさ。ありがとうね、これも大ちゃんのこれがあればこそだ」
大吉 「とんでもない、あっしなんか・・・」
時江 「謙遜することはないわよ、なんせこの料亭老松はあんたの腕で持ってるんだら」
大吉 「・・・そう言って頂けると、板前冥利に尽きます」


「お母さん、本日は有難うございました」
時江 「ハイ、お疲れさん。咲江、あんたも腕を上げたね」
咲江 「本当?ああ、よかった」
スエ 「いや、咲江ちゃん、あんた大したもんだ。みんな喜んでたよ、芸者幾松時代の女将さんを見ているみたいだって」
咲江 「あら、ワタシなんかまだまだ・・・」
スエ 「本当だよ。前田の大奥様なんか涙浮かべていらっしゃったんだから」
時江 「あら、前田の大奥様が?」
スエ 「ええ。あの頃が懐かしいねって仰いましてね」
時江 「そう、そんな事を」
大吉 「いや、あっしも覗かせて貰ったが、咲江ちゃん、見事なもんだったよ」
咲江 「ああ、穴があったら入りたい。お母さん、ワタシこれから川上のお師匠さんのところに行って来ます」
時江 「そうかい。お師匠さんにくれぐれもよろしく言っておくれ」
咲江 「ハイ。じゃ、行って来ます」
大吉 「お疲れさん」
スエ 「イヨ、二代目幾松」
咲江 「もう、スエさんったら」

やがて小料理屋「美代松」の美千代が来ます。
美千代は時江の芸者仲間であった美代松の忘れ形見で、その縁で時江は美千代を養女にしているのです。



時江 「いいからいいから、あんたが気にする事じゃないの。ねえ、それよりどう?咲江の相手候補見つかった?」
美千代 「ああ、その事」
時江 「ねえ青年会議所に良い人いない?」
美千代 「そりゃ、居ない事はないけど。でもオカアサン、何で咲江ちゃんの結婚そんなに急ぐの」
時江 「早く孫の顔が見たいの。おかしい?」
美千代 「おかしくはないけど、でも跡取りは?咲江ちゃんが他所に行っちゃったら老松の跡取りがいなくなっちゃうじゃないの」
時江 「咲江にはあたしみたいにこの家に縛られた生活はさせたくないのよ。それにあの子にはこの仕事は向いてないわ」
美千代 「じゃ、どうするの」
時江 「跡取りだったらあんたがいるじゃない」
美千代 「えっ、あたし?」
時江 「そうよ。だから養女にしたの」
美千代 「そんな、あたしなんか・・・」



時江 「あたしゃ本気だよ。それよりあんたはどうなの、いい人いないの」
美千代 「ええ、残念ながら」
時江 「ほんとかいな。男ぎらいの うわさを流し たてた操が チチン (歌う)いじらしい チチンチン、なんてことはないのかい」
美千代 「オカアサンのお仕込がよろしくって、男を見る目が出来てるもんだから、会う男会う男が頼りなく見えて、現在はおりませんの」
時江 「あら、そりゃお気の毒。いい女なんだけどね」
美千代 「そうなのよ」

     二人笑う。

と、そんな所へ地元新聞の記者高橋遼子が取材に来ます。
遼子は美千代の店の常連さんでした。


遼子 「ああ、失礼しました。(名刺を出し)あの私、日日毎朝新聞の高橋遼子と申しまして、主に文化面を担当しております・・・・この度ですね、国の観光立国推進基本計画に基づきまして、市議会が市の観光事業への大胆なてこ入れになる観光振興議案を上程したんです。多分、今日の議会でこの議案は可決されるとおもうんですが・・
その議案が可決されるとこの橋南地区が観光特区に指定されるらしいです。それに先立ってこの町の元来持っている魅力というものを再発見しようじゃないかという企画がもちあがりまして、それなら由緒ある老松を一番初めに取材しろという事で参上した次第です」


一場終了。
二場へ続く。
本日はこれまで。

撮影鏡田伸幸


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