序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第五場ー2

2019-07-29 13:35:53 | 舞台写真


さて孝雄の家族の秘密が明かされ、重ぐるしい雰囲気を打ち壊す様にハイテンションの三郎が現れた。
なんせ由美への想いが皆に知れちゃったんですから真顔でなんか来れません。


三郎 「コニャニャチワ」


恭子 「・・三郎さん」
孝雄・剛史 「コンニチワ」
三郎 「孝雄、有難うなノネノネノネ~ン」
     剛史、爆笑。
孝雄 「なんの事?」
三郎 「(ケーキ)この前は世話にナリマシタネ~ン」
孝雄 「えっ、ああ。・・うまく行ってる」
三郎 「まあ、ボチボチナノダ」


剛史 「三郎さん、仕事は?」
三郎 「今日はナシ、あぶれちゃったのネノネノネ~ン。・・ねえ恭子チャンチャリコちゃん」
恭子 「なに?」


三郎 「聞いたんだけどさ、今度の土曜日飲み会があるんだってレレレノレー」
恭子 「ええ、あるわよ」
三郎 「俺を呼んでもいいんだジョー」
恭子 「勿論よ。便利屋三郎さんには多分社長からお誘いが掛かると思うけど。・・・誰から聞いたの」
孝雄 「決ってるよ」
恭子 「由美さんなら今日は・・」
三郎 「ワカッテルヨ~ン。彼女の行動は全て知っているんだヨ~ン」


恭子 「・・あら、そうなの」
孝雄 「それじゃ、僕は出発」
剛史 「じゃ、俺も行こう」
三郎 「なんだ、行っちゃうのか。経過報告しようと思ったんだヨ~ン」
孝雄 「その内ゆっくり聞かせてもらいます。これから横山さんのお屋敷の芝刈り」
三郎 「ああ、それはご苦労様です。レレレのレー」
     剛史拍手。
孝雄 「じゃ行ってきます」
恭子 「行ってらっしゃい」
剛史 「三郎さん、頑張ってね」
三郎 「勿の論ダヨ~ン」


範子 「サブちゃん、お昼は?」
三郎 「いいや、まだ」
範子 「美味しいコロッケが手に入ったのよ。ほら、天満堂の」
恭子 「アラ、天満堂の」
三郎 「えっ、あの限定の。なかなか手に入らないらしいよ、あれは」
範子 「午前の終わりは吉崎の奥さんの所だったのよ、そしたらわたしのお尻について仕事が終っても一週間分の出来事報告してくれるの。それでお昼を食いっぱぐれちゃったのよ。で、何でもいいやと思ってポッと入ったら、丁度揚げたてがあったって訳」
三郎 「へえ、間が良かったんだね」
範子 「そうなのよ。さあ、一緒につまもう」
三郎 「ハイ、頂きましょう」


範子 「ホラ、恭子」
恭子 「・・・わたし、いい」
範子 「いい加減にしなさい」


範子 「いい加減にしなさいよ!」
三郎 「・・・オカアチャン」
範子 「何時までそうしてる気なの。罪の意識か何かしらないけど、そんな事でお父さんが喜ぶとでも思っているの。あんたのしている事は自己満足よ。それであんたはいいでしょうけど、その他人行儀な態度を見てるわたしの気持ちはどうなの、わたしの気持ちをどう考えているのよ。・・・お父さんは望んじゃいない。お父さんの望んでいる事はこんな事じゃないよ」

そこへ孝雄の父の会社の坂口が現れます。


「お邪魔します」
     居ずまいを正す範子と恭子。
範子 「あら、あなた・・」
良介 「はい、先日お邪魔した岩村善三の所の坂口良介と申します」
範子 「・・・今日は何か?」
良介 「ハイ、あの孝雄さんはいらっしゃいますか」
範子 「仕事で出てますが」
良介 「・・・あの・・会長の件でちょっとお願いがあるんですが」
範子 「・・・そうですか・・まあ、どうぞ」


良介 「そうですか。・・・ワタシ、十八の時に会長の所にお世話になって以来、今日までずっと会長の側で仕えて来ました。ですから孝雄さんが会長をよく思っていない事も知っています。会長も奥さんの事もあり、孝雄さんには大きな負い目を持っていてどう接していいのか分からないみたいです。今回の上京の事だって・・・実は今回の会長の上京は仕事の為ではないんです」
範子 「どういうことですか」
良介 「手術を受けにきたんです」
     虚をつかれ黙り込む一同。
良介 「胃癌が見つかりました」


恭子 「じゃ、孝雄さんに知らせなきゃ」
良介 「口止めされているんです、絶対に言うなと」
範子 「どうして」
良介 「さあ、意地になっているのか、それとも心配をかけたくないのか。・・親子の事はよくわかりません。でも会長は寂しいんです、心細いんです、誰よりも孝雄さんに側にいて欲しいんです。孝雄さんがどんな方か面識がないのでわかりませんが、会長の気持ちは、それだけはわたしにもはっきりわかります」
恭子 「だったら尚の事・・」
良介 「でも同情もされたくないんです、会長は」
恭子 「相手は自分の息子なんですよ」
良介 「それでもです。男を張って来た会長にとって、それが肉親であれ同情されるのは屈辱以外の何物でもないんです」
三郎 「ああ、その気持ちは分かるな」


範子 「坂口さん。それであなたのお願いというのはどういう・・」
良介 「何とか手術の前に会長に孝雄さんを会わせたいんです。いや、これは誰に頼まれたのではなくワタシの独断でのお願いなんです。時間がないんです。何とかお願いします」
範子 「じゃ、孝雄君に私から話してみましょうか」
良介 「いや、それではたとえ孝雄さんが会ってくれても病気の事を誰から聞いたかって事になります。それは勘弁してください。・・・もし孝雄さんがここにいらっしたら、わたしは会長が東京に居る事だけをお伝えして帰るつもりでした」
恭子 「じゃどうすれば・・」
良介 「ですから、二人を会わせる為の知恵をお借りしたいのです」
三郎 「こりゃ難しいなあ」
範子 「手術日はいつなんですか」
良介 「今週の土曜日の夜に執刀予定です」
範子 「土曜日ね」

こりゃ難題ですな・・
第六場へ続く。
撮影鏡田伸幸

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