広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

悩む

2008年05月22日 | Weblog



▼今朝も、睡眠2時間弱で、午前4時すぎに眼が醒めた。
 身体は当然、起きない。頭が起きただけだ。
 それを無理矢理、身体をベッドから引きはがして、のろのろ、よろよろと歩いて水を呑みに行く。
 水も呑みたくないけど、せめてもの身体へのいたわりだ。

 仕事が強烈に押せ押せ、山積みになっているから、起きるのだけど、それだけじゃない。
 きのうの自分の仕事ぶりについて、深い自己嫌悪があって、寝ていられない。


▼ゆうべ5月21日の水曜、夜遅くに大阪出張から帰ってくると、自宅にPHP出版から、新著のゲラが宅急便で届いていた。

 校閲のひとからの疑問点(用字用語の問題など)が、鉛筆で記されていることをはじめ、編集者や編集スタッフの丁寧な仕事ぶりが感じられて感謝する。

 ぼくはこのゲラに、全面的な書き直し、書き足しをするつもりだから、たくさんの時間が本来は必要だけど、時間は全くない。
 シンクタンク社長の仕事から、たまのテレビ出演まで、ほかの仕事も一切、ペースを変えずに続けるから。

 それに、これまで提稿が遅れに遅れたために、ゲラ直しがこの1回しかない。
 ふつうは最低でも、初校ゲラを直したら、再校ゲラが出て、それをもう一度、直す。つまりチャンスは、ミニマムで2回ある。
 しかし、今回は、ただこの1回だけ。
 しかも、そのただ1回のゲラ直しを、わずか1週間強で、完璧に終えねばならない。出版社から、締め切りがそう設定されている。

 これは、原稿が遅かったぼくに全責任がある。


▼こうやって4年ぶりの新刊書を6月に出すためには、状況は苦しいのだけど、このゲラ直しで、とても愉しい点が1点ある。

 それは、枚数や行数の制限にとらわれず、ほぼ自由自在に書き足せることだ。

 ふだん雑誌に書くような記事は、スペースが定まっているから、当然ながらきわめて厳格な行数制限がある。
 最初のラフな原稿を、頭をひねって削り込んでいくのも、それはそれなりに愉しいのだけど、やっぱり自在に書くほうがもっと愉しい。

 だから、仕事ぶりに自己嫌悪を感じるのは、このゲラ直しを含めた原稿執筆のことじゃない。
 テレビ番組への参加(出演)だ。


▼きのうは関西テレビの報道番組「アンカー」に生で参加し、「青山のニュースDEズバリ」というコーナーで話す日だった。

 コーナーに割りふられた時間は、15分から16分間。
 これでもテレビとしては破格に長い。
 関テレ報道局はよく努力してくれていると思う。

 それでもなお、時間が絶対的に足りない。
 番組初期のころは、ぼくも「すこし時間を延ばせませんか」と打診したことがある。
 今はもう打診しない。
 そもそも、これ以上、時間を延ばすのは実際、無理だと思うからだ。このアンカーは、ぼくの加わっている第1部の全体で、CMを含めて1時間しかない。
 それに、夕方の時間帯にニュース番組をみてくださっている視聴者の側からも、多くのひとにとっては、おおむね、この15分か16分ぐらいが集中できる限度かもしれないからだ。

 同じ関テレの土曜日の情報番組「ぶったま」では、ぼくがニュース解説コーナーを受け持つとき、26分から29分の時間が割りふられる。
 これはもちろん、がらりと、やりやすくなる。それでも時間は足りないが、まったく状況は変わる。
 しかし、平日じゃなく土曜日の、情報番組でだからできることだろうと思う。
 同じことを、平日に帯(おび)で放送している報道番組で求めても、そりゃ無理だ。
 それに視聴者も、土曜日だからこそ30分近い話を聞いていられる、ということもあるでしょう。


▼したがって、ぼくはアンカーという報道番組に参加する以上は、今の15分か16分で、完璧な結果を出さねばならない。
 ぼくはテレビが本職ではないが、参加するからには、その100%の義務がある。

 ところが、番組初期のころよりも、大型ニュースが次から次へを世を襲ううえに、コーナーへの社会の関心もほんの少しだけ高まっていて、話すべきこと、視聴者・国民に伝えるべき情報は、格段に、増えている。

 同じ制限時間の中で、それを伝えようとするから、スタジオのフロア・ディレクターが正確に「あと何分」と出してくれる紙を見るたび、本来は話そうとしていたことを、この愚かなぼくは、忘れてしまう。

 きのうの放送も、自分では、そのために不満いっぱい、自己嫌悪いっぱいだ。


▼たとえば、中国の胡錦涛政権が軍の削減を図り、それに抵抗する人民解放軍が反日路線を死守しようとしているという趣旨の話のところで、「軍の削減」ではなく、「陸軍の削減」と言うべきだった。

 中国軍は、多すぎる陸兵(なかでも歩兵)を抱えていて、それを胡錦涛体制は削減して、代わりに海軍と空軍の近代化・現代化を急進展させようとしている。
 しかし陸軍からすれば、仕事のない農村の青年を陸軍が吸収していることもあり、絶対に譲れない。
 反日路線を最大の頼みにして、世界最大規模の陸兵を今後も抱え続けようと必死だ。

 四川大地震の現場は内陸部であり、活動している軍は陸軍が圧倒的に中心で、そのなかでも歩兵が主体だから、よけいに日本の国際緊急援助隊に対して、活動を組織的に阻んでしまうことが起きた。
 いわば陸軍による、胡錦涛主席の路線(主席が訪日してまとめた「日中共同声明」などの路線)への反抗だ。
 日本の国際緊急援助隊を、遅ればせながら優先して受け入れることは、胡錦涛主席みずからの決断であったことは、日米英などのインテリジェンス(機密情報)が、共通してはっきり指し示している。
 だから、その援助隊の活動が不本意なまま抑え込まれたことをみて、胡錦涛体制が軍部、特に陸軍をコントロールできていないと諸国が懸念している。

 ほんとうは、ここを精緻に言わないと、まるで胡錦涛主席が軍縮論者のような誤解も与えかねない。


▼わずか15分、16分のなかで、日本の国際緊急援助隊の高いモラルと尊い信念に基づいた活動ぶりや、深刻極まりない中国の軍事用核施設の被災懸念や、感染症・伝染病の、ビルマと繋がった広範な大流行懸念、さらには新型インフルエンザのパンデミック(世界的な爆発流行)の震源地になる怖れ、そしてチベット自治区について何も情報が出てこないということ、さらに、さらに…と、伝えなければならない情報はあまりに多い。

 だから上に書いたような説明は、実際の番組の中では、できない。

 できないが、せめて、「軍の縮小」ではなく「陸軍の縮小」とひとこと、言っておくべきだった。

 ほんとうは、生放送の中で話しながら、「陸兵、なかでも歩兵が多すぎるから、その縮減」と言わなければ、と頭を何度もかすめた。
 しかし、目の前で(カメラには写らず、視聴者にはみえないところで)、「あと何分」という紙のうえの残り時間がどんどん減るから、予定よりも猛ペースで減るから、その言葉を呑み込んだ。

 あぁ、ぼくはなんて、馬鹿なんだろうか。
 フロアディレクターが、その紙を出してくれるのは、ほんとうにありがたい。いや、その紙がないと、残り時間がまったく分からないから、番組にならない。
 馬鹿なのは、ぼくだ。

 ゆうべから、自己嫌悪に苦しんでいて、今朝、大阪の主婦のかた(ネット上のハンドルネームでは、ぼやきくっくりさん)が貴重な無償の努力で書き起こしてくれたフルテキストを一読して、あらためて頭を抱えた。

 自己嫌悪を感じる下手くそな点は、ほかにもある。
 正直、降りろ、降りろ、やめろ、やめろ、ぼくの中の「仕事ぶり検証チーム」が今朝もそう叫んでいる。
 こんな話しぶりでは、視聴者にも、局のスタッフにも、ヤマヒロさんらキャスターにも、申し訳ない。
 このままでは申し訳なさすぎる。

 一方で、ぼくの中の「市民、国民のひとりとして市民、国民と共に生きるおのれ」は、決して降りるな、けっしてやめるな、と小さな声でぼそぼそと、今朝もそう呟いている。
 声は小さいけど、消えることのない声だ。

 だからね、悩む。






Comments (136)   この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ぼくが司会します | TOP | 断腸の記  「あぁ新刊」の巻 »
最新の画像もっと見る

136 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kenokabe)
2008-05-22 08:04:56
青山さん、

私はmixiの日記などで青山さんのことを取り上げる際に、「偉大なるジャーナリスト青山繁晴氏」という枕でいつもはじめています。

Youtube上で心ある利用者(TV業界の対応が遅れている著作権問題をふまえてあえてそう言います)がUPしている、これらの関西ローカルのNEWS解説動画を張るときに、こういうNEWS解説が全国で普通になればどれだけこの国のためになるだろうと、関西ローカルであることを残念に思いながら張っています。

視聴者としては、どのような解説者にも100点は求めておりません。時間の制約がある生放送ではそういうものは原理的に無理であると思っています。

私がもっとも恐れるのは、その他の点数すらつけられない多くの「解説者」の「解説」しかTVメディアから発信されない、ということであり、降りるだのやめるだのお考えにならないでください。

継続はちからなりと申します。すでに青山さんのNEWS解説のクオリティの高さの評判はじわじわ全国にも広まりつつあると考えていますが、この調子で今後ともずっと続けていただいて、他のNEWS解説者は、あれくらいやらないとジャーナリストだの解説者だのと名乗れない、恥ずかしいと思わせるような業界の標準が確立されてほしいと思っています。

時代は青山さんの仕事を要請しているからこそ多忙を極められているのだと思いますが、断ることも必要だと思います。お体を壊されては元も子もないので、ぜひ社員に任せられることを増やしたり、講演などの無理なスケジューリングを緩和することも考慮されてはいかがでしょうか?
Unknown (くめ)
2008-05-22 09:06:24





ニュースアンカー降板しないでくださいね!




台本 (風便り)
2008-05-22 09:20:37
ずいぶん前に、
「講演用の原稿は用意しない」
というようなことをお書きになったのを読んだことがありました。

すべては、青山さんご自身の頭の中に入っていらしゃることなのだなと、2度ほど生で、青山さんのお話を聞いて納得しています。

短い時間で、全てを話すのは難しいと思います。ですから、青山さんの言葉を、すべて鵜呑みにするのではなく、検証することも視聴者にとって、大事だと思っております。青山さんからの情報は「間違い」ではなく、わたし自身が消化できないところもあるのだと。

ぼやきくっくりさんのブログは、かなり以前から読ませていただいています。くっくりさんのツッコミも楽しいので。コメント欄もたいへん勉強になります。

青山さんのサイトを、初めて訪問した頃、青山さんご自身のログメッセージは、確か
「なぜ本を書くのか、みんなと一緒に考えたいから」
でした。ご著作が店頭に並ぶ日を楽しみにしております。
武士のような青山さんへ (Sashay34)
2008-05-22 09:25:34
今日初めて青山さんのブログを拝見しました。

「そんなに御自分を責めないで下さい」
「そんなに、自己嫌悪で苦しまないで下さい」

本当に馬鹿な人は、謙虚ではいられません。
自己反省もしません。
言葉も選びません。
悩みません。

でも青山さんは全部しているではないですか。
私達には計り知れない嫌がらせや脅迫や反対勢力や圧力やいろんなものと危険を顧みず戦い続けながら、私達に真実を伝えようとして下さっているではないですか。

青山さんの心の声は日本国内だけでなく、世界中に散らばっている日本人にきちんと届いていると思いますよ。私もその中の一人です。

ご存知かもしれませんが、本日、ここロンドンで、2300人近くの参加者が訪英中のダライラマ法王からの握手を隣の人に次々と引き継ぐ方法で中国大使館まで届けるというイベントが行われます。国旗も、プラカードも禁止。たくさんの人が握手をつなぎあうことで世界中に向けてメッセージを発信しようという試みです。それに、参加してきます。
継続は血なり。 (早雲)
2008-05-22 09:34:40
ボクにとってTVの中の青山さんは「見えざる社会を覗く窓です」。TVでの「いいまつがい」に関しても、TVを見ている人はちゃんと修正しながら見ているものなのかもしれません。マイナスばかりでなく、プラスなものの方が圧倒的に多いと思います。ちゃんと伝わってますから。これからもよろしくお願いします。世の中にTVという機能が存在するんだから使わなくっちゃ。
急いでいます (いけやん)
2008-05-22 09:49:56
先日の枚方の憲法ミーティングに参加しました。
初めてああいう場所に参加しましたが、テレビとは違い確実になにか思いがある人のパワーも感じましたし、憲法を考えるいいきっかけとなりました。

勝手な提案(笑)ですが、今後の活動はテレビはアンカー月2回、ぶったま月2回にして、東京・大阪で2ヶ月に1回、枚方のようなタウンミーティング(ブッキング作業などが大変だと思いますので、ただの講演会でもいいと思います。)を定期的に開いてはいかがでしょうか?

初めて青山さんを見たのはアンカーでのペルー事件。そして硫黄島。

青山さんの熱い情熱は、私の「おまえも日本人だろ、もっと考えようよ」という大和魂みたいなものに灯をともしていただきました。それからは積極的に政治や日本の事に関して情報を取りに行くようになりました。

本当に忙しいと思いますが、定期的な講演活動に期待しております。
断然指示します。 (はんこ屋)
2008-05-22 10:43:16
関西テレビでの青山さんのご活躍。いつも熱く拝見させていただいています。
私には、毎週のこの時間が欠かせなくなりました。
私は、青山さんが「完璧」であることなど望んではいません。15分の「枠」のなかで、1つでも、2つでも、心に突き刺さる「情報」があれば充分なので、完璧などを望まずに、貴重な情報源であることを続けていただきたく願っています。
今後も断然青山さんを支持いたします。
唯一の心配は、お体のことです。どうか、ご自愛下さい。
Unknown (kenokabe)
2008-05-22 11:00:19
>いけやんさん
「ライブ」で何か思うところがあったのでしょうが、現実的により影響力の多い、YouTubeなどでさらに拡散するポテンシャルのあるTVの露出を半分に減らして、講演会を増やせというのは、違うと思いますよ。

どうも活動家を増やすための伝道師になってほしいというリクエストのようにさえ見えます。それは違うと思う。

現に、いけやんさんがそもそも青山氏の存在を認知したのはそのTV番組があったからこそで、当時どこで開かれているか知りようもなかった講演会ではないでしょう。自分も青山さんのことは関西テレビのアンカーで知りました。

一般に、講演会にひとが入るのは、「TVで有名な人が来るから」という場合がほとんどです。メディアの露出がない人=知名度が低い人という認識のされ方が多く、人も集まりにくいです。自分は最初からかなりの問題意識を持っている人や一部のコアなリピーターでにぎわう講演会よりも、不特定多数の問題すら認知していない視聴者を広く深く啓蒙していってほしいと願っています。
テレビと時間 (独立自尊)
2008-05-22 11:19:57
 たしかに中国の軍事力増加、とりわけ外洋型を目指す海軍力UPは聞き及んでいますので。違和感はありましたが…。
 しかし、このようにブログで青山さんのお考えを知ることができて良かったです。青山さんの心の内の悩みは晴れないかもしれませんが、青山さんのメッセージを直接受け取って、「青山さんはこう言いたかったのか」ということを理解する人々も決して少なくないはずです。

 たしかにアンカーを熱心に視聴している人でも、「なぜ青山さんは××に言及しないのか」というコメントを時折見かけます。テレビに出演したことのない視聴者の立場からすると、テレビの内容が時間的制約を受けるということは、中々理解しにくい問題ですね。
Unknown (朝日に匂ふ山櫻花)
2008-05-22 11:32:30
こうやって悩んでいる青山さんが、好きだなぁ。馬鹿正直で、泣き虫の、青山さんが好きだなぁ。一般の、視聴者目線で語る、青山さんが好きだなぁ。決して、番組を降りないで戴きたい。そういう青山さんの姿勢こそが、視聴者の共感を呼んでいるのだと思います。そしてそれこそが青山さんの強みでもあろうと思うのです。

日本を、世界をより良くするには、マジョリティを動かさねばなりません。チベット問題では、なぜ、あんなにもチベットが世界の共感を集めているのか不思議でしたが、要はチベット文明の気高さに世界の人々が共感しているのですね。同じような気高さは、この日本にもあります。残念なことに、その日本文明の気高さは、戦後の占領政策によって消されてきました。が、青山さんを始めとする方々の努力により、少しづつ、少しづつ、日本文明の気高さに気付く国民も増えてきているように感じられます。

今では、ネット上に青山さんの番組がたくさんアップされています。私のように、青山さんの番組が放映されていない地方でも、数日待てば番組を見ることができるようになりました。ぼやきくっくりさんのように、テキスト化してくださる方もいらっしゃいます。これは共感・共鳴のネットワークなんですね。このネットワークを拡げる、最先端の功労者の一人が青山さんなんですよ。どんどん悩んでください。わーわー泣いてください。日本が、世界がより良い処に近づいていきます。