繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

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日産の新型リーフは EVのあるべき姿か?

2017-09-13 10:15:03 | 日記

日産の新型リーフが発表されました。

 

昨日の週刊ダイヤモンドに「日産が新型リーフ販売目標の「数字」を明確にしない事情」という記事がありました。

その中で、発表会時に日産自動車の星野朝子専務執行役員は「これまでリーフ購入を控えていた方の不安は払拭された」と言ったそうです。

 

つまり、今までリーフには3つの大きな課題があってそれを今回の新型では払拭したということらしいです。

3つとは「航続距離」「充電スタンドの数」「価格」です。

 

これは、星野朝子専務執行役員にとっては言わざるを得ないということかもしれませんが、非常に楽観的コメントというか、私には「これまでリーフ購入を控えていた方の不安は払拭された」というのは少し言い過ぎで、また的外れではないかと思いました。

 

つまり、まず現行リーフブランドは、計画販売台数の大幅未達成でもわかるように、一部のユーザーにしか購入されず、リーフブランドとしては、浮かび上がらない水面下の状況にあります。

 

そんな中で、今回の新型は起死回生となり、浮かび上がるには、ガソリン車を鏡におくのでなく、EVとしての新しい異なる発想で余程のコトを行わない限り難しいと思うのです。

 

言い訳としては、「リーフ購入を控えていた方の不安」であって、多くのユーザーを相手に言ったものではないとなるのかもしれませんが、これはこれでコミュニケーションとしては寂しいものです。

 

 

初代のリーフを、多くのユーザーにとってEVを使えるインフラも性能もないまま、発売したことのEVブランドへのネガティブ影響は大きいと思います。

 

つまり、最初のリーフユーザーはいわゆる先行層で、トレンドリーダーとも呼ばれる人たちだったとおもうのです。

その人達は、いざ買って乗ってみると電欠不安に苦しみ、バッテリー劣化する人もいて、また買い替えたいと下取りにだすと安かったり、勿論中にはリーフを満喫した人も多いこととは思いますが・・・、

多くの初代リーフユーザーは多かれ少なかれリーフに不満というか期待はずれなとこがあったと思います。

これが無かったら、もっと販売台数は上がっていたと思うのです。

 

 

環境対策になるという正義の御旗を掲げたEVですが、走行中は確かにCO2をだしませんが、

本当に環境を考えた発電から廃棄まで、地球に有害なものをできるだけ出さない、というコンセプトが貫かれているとは言えません。

日本は、様々な理由はあるにせよ、火力発電のまっただなかです。

それは、政府の問題と他人事にしても、結局はEVの環境にいいという御旗がないということになります。

 

環境対策を正義の御旗とするEVなら、商品開発だけでは不足ということです。

水平的に、インフラから国のエネルギー施策までとりこまないとダメなのです。

 

 

今回の新型リーフですが、航続距離400kmと頑張ったのですが、地に落ちたブランドを復活させるのには「改良レベル」に過ぎず、ユーザー的にはリーフを見直すとまではなかなかいきにくいのではと思います。

 

皆さんも、「航続距離」が1.4倍の400kmになったと聞いて、「それなら安心」と思えるでしょうか?

確かに、造り手側からすると大変な技術やコストを投入しているでしょうから、「ここまで来た」感はあるでしょうが、ユーザーにそれは関係ないと思います。

例えば、最初は400kmでも、一年後に350kmになって、

その後また・・では元も子もないので、どれくらいのバッテリー劣化カーブになったとか、もう少し改良内容を具体的にユーザーに投げかけることができないと、「不安の払拭」には至らないのではないでしょうか。

 

また、価格は安くなって315万円らしく、でも決して廉価ではなく、また国からの補助金で270万円位になるらしいですが、補助金の原資はご存知のように税金ですからね。

 

270万で、数年後ガソリン車と同じような下取り価格がつくなら良いですが、EVの場合はその使用状況などによりクルマの個体差が大きく出る場合がありますが、それをどう見極めるか? これも、「不安の払拭」には大切ではないでしょうか?

 

 

スタンドの数を記事は「充電インフラについても、10年に全国で360基だった急速充電器が、現在は7000基以上に増え、初代発売時より格段に充実している。」と書いていましてそれはその通りと思いますが、対するガソリンスタンドは2013年時点で、25,690箇所というデータがあります。

最近ガソリンスタンドの数は少し減ったようですが、それでも出かけ先でガス欠になりそうになっても、飛び込めるスタンドはあり、5分もあればまた満タンに出来るわけです。

 

「チョット、バッテリーが減ったから充電スタンドに寄るか」

というほどの充電スタンドの数はなく、長距離などの場合は予めどの辺りで充電するか?は、目論んで置く必要がまだあるのではないでしょうか。

 

しかも、80%の充電に40分程度かかることもあり、まだまだガソリンを入れるような簡単な事ではありません。

また、極寒冷地でのバッテリー性能の課題などもあります。

 

このように、まだまだEVはガソリン車並みにはいかないのです。

 

なのに、新型リーフの形も旧型以上にあくまでもガソリン車と同じデザインで、このあたりもユーザーにEV独特の使い方を強いるなら、本来は考えてなくてはいけないことと思います。

 

逆に言うと、ガソリン車並みデザイン、しかもかなり一般的なデザインにしたということは、フォロワー層までをターゲットユーザーにおいているのではないかと思われ、そこには販売台数増を目論んでいると思われます。

 

つまり、日産自動車は今回の新型リーフこそ、EVの不安を払拭できたから、販売台数は伸びると本当に考えているのかもしれません。

(多分、後述の中国市場を中心に考えているものと思いますが)

 

現在、ニュースなどでカーメーカーのEVへの舵取りを伝えるものが多いですが、これは大きなマーケットの中国が自国の将来=エネルギー政策を考える上で、石油は既に輸入にたよる形になっていますから、それを打開したいと原子力発電に切り替えて同時に自動車産業もEV化すれば、携帯のように世界に打ってでられそうだという、自国の発展を考えた結果EV化に舵を切り始めたと言われる方も多いです。

つまり、EV商品ありきでなく国の政策からひもづいたEVということです。

多分バッテリー開発も国を上げてやっているでしょう。

 

勿論、新型リーフはそういう中国市場をメインに考えているものと思います。

中国の中で高級EVブランドになることを目指しているのではと思うのです。

 

中国現地メーカーEVは日本がそうであったように、自動車としての「品質」は少し足りなくても「廉価」であれば、数は相当数でるものと思われます。

本当に、世界を席巻するかもしれません。

 

日産、トヨタ、ホンダなどとの現地との合弁会社では、現地資本のメーカーと較べてどうしてもコスト高になります。

 

EVの世界は、ガソリン車が普及した時の世の中状況とはかなり異なります。

つまり、EVはガソリン車の垂直型産業でユーザーが喜ぶ商品を安くという単純な価値観では成立せず、EVと社会、国の政策などまさに水平型産業とも言える形で、考え方を変えなくてはならないと思うのです。

 

形、デザインも、ひょっとすると使い方も、ガソリン車と異なるEVにあったものに、これからは変化していくのではないかと思っています。

 

ガソリン車並み「品質」を目指して造るのがEVではないと思います。

 

 

 

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