繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

トヨタ自動車「EV」 2020年量産体制作り

2016-11-07 10:46:16 | 日記

2020年をメドに、トヨタがEVの量産体制作りをするという記事が出ていた。

 

EVといえば、日産自動車のリーフで「殆ど売れていない」という感覚で、実際最初に立てた計画は達成していない。

理由は、簡単で「ユーザーがガソリン(ディーゼル)車と同じように使えなくて、費用もかかる」ということだ。

 

同じように使えない一番は、航続距離。

これは、日産自動車をなどが各地に急速充電機の設置を呼びかけており、結構あちこちで見かけるようになったが、勿論まだまだ十分ではない。

ただ、急速充電機はあくまでも「緊急対応的」に考えたほうが、バッテリー劣化のためには良いと言われている。

つまり、自宅での夜間充電が基本だ。

そうなると、自宅の充電ポスト設置はマストとなる。バラツキは大きいようだが30万前後の費用がかかるらしい。

ここで、1つ課題が増えて、いわゆるマンション形式の住宅では、充電ポストの設置は中々難しい。一戸建てでしかも、駐車場に充電ポストのスペースと電源が必要だ。

細かく言うと、雨が強い日でも明くる日クルマを使用するとなると充電が必要なので、できるだけ面倒にならない事も必要だ。

 

私が、EVの最大課題と思うのは、電池の劣化だ。

これは、使い方や使用環境によって変わるらしい。

簡単に言うと、急速充電を繰り返した電池は、毎回早食いする人の胃袋のようで、疲れ気味になると言われている。

毎回早食いする人でも平気な人はいる。しかし、胃は疲れやすいという、そういう電池の素性の話だ。

あとは、極寒地では電池性能は出にくいので、

温めたりすることが必要かもしれない。

つまり、電池は我々人間のような生きもの的で厳しい環境では工夫が必要になると言うことだ。

さらに、いい環境で過ごした電池と厳しい環境で使われた電池では、2〜3年後の電池性能が異なってくることだ。つまり、中古車のオレンジブックなどのような標準化が難しい。

2〜3年後の電池性能にバラツキが出る可能性があるということだ。

 

簡単にEVというか電池の話をしたが、こういうような状況なので、リーフやi-MiEVは計画台数達成せず、売れないのだ。

 

そんな中で、トヨタが参入する意味を考えてみたい。


まず、トヨタは世界トップレベルのカーメーカーだ。

これをキープし子供や孫の世代まで永遠に発展させていくためには、「取りこぼし」はゆるされない。

また、開発・投資費用的にも苦しいわけではない。十分あるはずだ。


じゃ、何故いままでEV開発・販売をしなかったのか?


「電池が人間と同じ?」と知っていたからだと思う。

トヨタは発表はしていないが、初代のプリウスなどで電池のコンプレインによるコストを相当支払ったはずだ。

つまり、「電池の怖さ」というか「電池は生き物」というような、量産して日本の世界のユーザーに届けて使ってもらうことの大変さを知っていたのだ。

 

待ったなしの地球温暖化を前にして、当初北米の西海岸地区のZEV法なんて、ストイック過ぎると思われていたが、やはりこういうことなんだというふうに、地球人が考え初めてきたと言うこともあるかもしれない。

日本ではNHKが、地球温暖化特集で広く放送している。

勿論、地球温暖化に対してクルマはワンオブだが、そのワンオブがそれぞれ対応しなければならないと言うのは、当たり前の事となってきている。

 世界一の自動車メーカーが、対応しないわけにはいかないのだ。

しかも、2020年はオリンピック・パラリンピックが日本で開催されるので、世界の注目は浴びるし、逆に発信もできる。

 

トヨタ自動車が、電池や使用環境の課題を技術を中心として、EV課題をどう解決していくか期待したい。