今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

安倍政権下の自衛隊制服組の暴走ー日比・日豪・日英の共同軍事訓練の強行を許すな!

2018年10月11日 | 主張
 驚愕すべき事態が進行している。国内法・国際法にも根拠のない、違法な、脱法的な、日英・日豪・日比共同訓練が、フィリピンで、日本国内で始まっている。今週には、この訓練中の自衛官がフィリピン国内で死亡するという状況にまで至った。この安倍政権下の、自衛隊制服組の暴走を許してはならない。国内法・国際法の根拠もないこの多国籍軍間の訓練は、兵士たちのみならず、受け入れ国=訓練地の民衆にも、多大な犠牲を強要することになるのだ。
(ここでは、今、重大問題となっている「日米地位協定」の件については省略する)。#自衛隊 #南西シフト #沖縄 #宮古島 #石垣島 #奄美大島 #日英日豪日比共同訓練


 フィリピンとの間の「訪問部隊地位協定(VFA)」もない上陸訓練

 この訓練は、フィリピンでは、今週から同国のサンアントニオで、水陸機動団(陸自海兵隊)と米海兵隊、そしてフィリピン国軍の共同の「災害派遣訓練」のための上陸訓練として行われた。水陸機動団が、「災害派遣訓練」を口実に、日本によるアジア太平洋戦争の最大の被害者国・フィリピンに「上陸訓練」を行うのもおぞましいが、日比間に何らの協定(「訪問部隊地位協定(VFA)」)もなしに、つまり、フィリピン国内法からも、国際法からも違反した共同訓練を行ったことに、かつての「日帝植民地」的傲慢さを思うのは私だけであろうか。

 今回の訓練中に亡くなった自衛官も不幸だが、おそらくこういうことを続ければ、自衛隊によるフィリピン人への傷害事故や犯罪も起こるであろうし、そのときの処罰すべき法律もない、不明確、という、とんでもない状態が生じてしまうことになる。

 つまり、日比の共同訓練にしろ、日英・日豪の共同訓練にしろ、「訪問部隊地位協定(VFA)」が締結されていない場合、当事国の「訓練・運用のために外国軍を国内に受け入れる際、武器携行や戦車、戦闘機などの持ち込み、陸空の移動」「外国軍人のパスポート、入国ビザ」「刑事・民事の裁判権の帰属」などの、諸々の問題を処理・解決するための法的規定が、どこにもないということになるのだ。
(「訪問部隊地位協定(VFA)」とは、締約国間の災害救援や共同訓練などの際、訪問国での部隊(軍)の法的な地位を定めた協定。長期的な駐留とは異なり、相互の国で一時的に活動する際の問題をあらかじめ解消するのが目的)

 米比・豪比の「訪問部隊地位協定(VFA)」とは

 現在、フィリピンでは、米国およびオーストラリアのとの間で、「訪問部隊地位協定(VFA)」を締結している。とりわけ、クラーク、スービックという二大米軍基地を撤去したフィリピンにとって、同国の憲法上に「外国軍隊の基地設置の禁止」(フィリピン共和国1987年憲法の外国軍事基地に関する条項・第18条)を規定したのであるから、同国への外国軍ー米軍の訓練・演習・一時的滞在は、明確な規定になった。
 ここでは、豪比間の「訪問部隊地位協定(VFA)」(2012 年 9 月 28 日に豪比相互訪問軍隊地位協定)を参考に、その内容を見てみよう(参考「豪比相互訪問軍隊地位協定」外国の立法・2013/6)。http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8220780_po_02560006.pdf?contentNo=1

 日米地位協定などもそうであるが、特に大きな問題となるのが、受け入れ国での「刑事裁判権の帰属」問題だ。同論文では、その刑事裁判権の関連規定として以下の 5 点の長所を挙げている。
 具体的には、①受入国で発生した受入国の法で罰することのできる犯罪は、受入国の当局が処罰できる点、②裁判権が競合する場合でも、派遣国が第一次的裁判権を行使できるのは、派遣国自体の財産や安全保障に対する犯罪又は公務遂行中の犯罪に限られる点、③裁判権に関して両国間で争いがある場合、両国代表者から成る合同委員会における解決をめざすが、交渉により解決に至らないときは、受入国の司法当局に案件を送付できる点、④フィリピンで罪を犯した刑事被告人に免責を与えるいかなる規定も豪比地位協定には存在しない点、⑤フィリピンで罪を犯した訪問軍隊構成員は、豪比地位協定に基づく裁判を逃れることはできない点、である 。

 この豪比地位協定の特徴は、豪比間は同等の権利を有する内容となっており、米比間の訪問米軍地位協定が、フィリピン国内にある訪問米軍の地位を定めるだけで、かつ、刑事裁判権などに関してアメリカ側に有利な規定となっているのと対照的だ。

 法的根拠のない日英・日豪共同訓練

 現在、イギリスとの間で行われている「2018年度国内における英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ)」についても、「訪問部隊地位協定(VFA)」は締結されておらず、まったく違法かつ脱法的訓練だ。
 この陸自と英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ)は、陸上自衛隊発表によれば、「国内における英陸軍との統合火力誘導に係る実動訓練を実施し、部隊及び隊員の戦術技量の向上を図るとともに、陸上自衛隊と英陸軍との関係強化を図ることを目的」とし、2018年9月30日~10月12日に、富士学校、北富士演習場、王城寺原演習場で行われている最中である。

 報道によれば、富士から宮城県の王城寺原までは、自衛隊の車両が先導するというが、訓練中・外に民間との間で事故・事件が引き起こされた場合、なんらの法的処置も対処もできない状況である。
 この日英共同訓練について、東北防衛局は「日英共同訓練の根拠等」として、「国際法上、一般に、外国軍隊が他国の領域で活動するためには、当該領域国の同意が必要となり、英国軍が我が国において訓練を実施できる根拠は、我が国が付与する同意となります」というが、しかし、「今後、両国間における口上書により、両国構成員の地位等の概略を取り交わした上で、覚書を作成し、詳細な地位等の取り決めを確立します」と弁解している始末だ。

 つまり、「口上書」(外交文書の一つであり、相手国に対する意思を口で述べる代わりに文書にしたもの)もなく、「訪問部隊地位協定(VFA)」もなしに、国際法も、国内法も無視して、日英・日豪共同訓練を強行しようというのだ(日豪共同訓練に関しては、引用する日経新聞を参照)。これこそまさしく、安倍政権下での、自衛隊制服組の暴走と言わねばならない。

*王城寺原演習場における日英共同訓練について(東北防衛局)
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/699932.pdf

*陸上自衛隊発表の日英共同訓練
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/703867.pdf

 日豪・日英の「準軍事同盟」の本格化

 この日比・日英・日豪共同訓練は、国会でも全く論議されない、メディアでもほとんど論議もなく強行されているのだが、本日の日経・朝日がようやく指摘しているように、日豪・日英の「淮軍事同盟態勢」の帰結である。
 日豪・日英間では、すでに、日豪ACSA(物品役務相互提供協定・自衛隊法第100条8)、日英ACSA(物品役務相互提供協定・自衛隊法第100条9)が締結され、日米安保態勢なみの軍事同盟化が進行している。そして、本年7月14日には、「日仏物品役務相互提供協定(日仏ACSA)」も締結された。

 つまり、安倍政権は、かつて太平洋に植民地をもっていた宗主国の全てと、軍事同盟態勢を築こうとしているのだ。何のためにか? 言うまでもなく、この目的は「中国封じ込め」であり、対中抑止戦略の日米による発動だ(2017年12月の米政権「国家安全保障戦略」(NSS)」、米国防長官「国家防衛戦略(NDS)」参照)。
 これを安倍政権も、トランプ政権も、対中の「インド太平洋戦略」として共同で打ち出している。
 
 指摘してきた日比・日豪・日英(そして日仏)の共同軍事訓練は、こうした安倍政権下のアジア太平洋戦略の帰結であるとはいえ、この違法な訓練・演習を許してはならない。同時にまた、それらの諸国との「訪問部隊地位協定(VFA)」締結もまた、許してはならない。

 対中抑止戦略下の日米の戦慄する共同作戦態勢づくり
 
 制服組の暴走とも言える、日比・日豪・日英の共同訓練の強行(→「訪問部隊地位協定(VFA)」締結)目的は何か? 言うまでもなく、これは日米の対中抑止戦略下での、自衛隊の南西シフト態勢による与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島・馬毛島への自衛隊の新配備、沖縄本島・九州佐世保への増強態勢、つまり、「島嶼防衛戦」=海洋限定戦争態勢の形成にある。つまり、この日米の南西シフト態勢に、かつての旧宗主国(今も植民地保有)全てを動員しようというのであり、中国軍への対抗的戦力を作り出そうというのだ。

 したがって、日本の反戦運動は、この日米豪英仏(印・比)の軍事態勢ーそれは具体的には、各国との共同訓練の始まりとともに、南西シフト態勢下の軍事基地建設として突き進んでいるが、この先島ー南西諸島の要塞化との対峙なしには、まったく空虚なものとなるだろう。今、まさしく、安倍政権が推し進める「改憲」は、「戦時下の改憲」として始まろうとしているのだ。


*参考 豪比の訪問部隊地位協定(VFA)
[協定の目的] 
協定の狭義の目的は、訪問軍隊と受入国政府との間における以下の事柄に関する法的枠組み、権利、責任及び手続を定めることにある。すなわち、訪問軍隊構成員による刑事犯罪行為の際に惹起される事柄、制服を着用する条件、税及び関税の免除、環境保護の要件、入出国手続及び法的責任問題などについて定めることを目的とする。協定は、一方の当事国の軍隊が他方の当事国内にある間、両当事国の軍隊に対して同じ権利を付与するものである 。

[訪問軍隊構成員の入出国と移動]
派遣国は、軍属機関を含む訪問軍隊の規模を、可能な限り名簿を添えて、受入国へ入国の 30日前又は両国が相互に定めるときまでに通知し(第 3 条)、災害救援などの緊急の場合を除いて、到着について受入国へ到着の 48 時間前までに通知しなければならない(第 4 条第 1 項)。軍属機関を含む訪問軍隊の構成員は、受入国の査証(ビザ)要件の適用除外とする(第 4 条第 2 項)。共同訓練等に従事する行為のために入出国する訪問軍隊構成員は、査証に代えて、派遣国発行の写真付身分証明書及び受入国への旅行命令書を、求めに応じて提示しなければならない(第 4 条第 3 項)。軍属機関の構成員は、受入国滞在予定期間より 6 か月以上長い有効期限の旅券(パスポート)と軍属機関の構成員であることを証する派遣国当局発行の証明書の 2つを所持しなければならない(第 4 条第 4 項)。軍属機関を含む訪問軍隊の個々の構成員には、
合法的活動のため、受入国の領域内における移動の自由が受入国の当局から許可される(第 7条第 5 項

[刑事裁判権(第 11 条)]
第 1 項において原則が定められる。受入国の当局は、受入国内で発生し受入国の法により罰することができる犯罪行為に関し、軍属機関を含む訪問軍隊の構成員に対する刑事裁判権を有する。

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日経新聞から
日豪、「準同盟国」明確に 部隊地位協定の早期妥結確認 共同訓練拡充、中国の海洋進出けん制(2018/10/11)

【シドニー=松本史】日本とオーストラリア両政府は10日の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、自衛隊と豪軍が共同活動する際の法的な扱いを定める「訪問部隊地位協定」(VFA)を早期に妥結させる方針を確認した。安全保障上の協力の前提となる規定を整えて共同訓練の機会を増やす。中国の海洋進出をにらみ「準同盟国」の位置づけを明確にする。

日豪2プラス2は昨年4月以来。共同声明ではVFAについて「可能な限り早期に交渉を妥結することへの強いコミットメントを再確認した」と明記した。2019年中に両国で初となる戦闘機訓練をするとし、航空自衛隊と豪空軍が訓練や演習を実施する機会を拡充する方針で一致した。

ペイン豪外相は協議で、安倍晋三首相が11月に豪州の北部ダーウィンを訪問するとの見通しを明かした。ダーウィンは第2次世界大戦時に旧日本軍が空爆し多数の死者を出した地域。ダーウィン訪問を戦後の日豪関係強化の象徴とし「準同盟国」の位置づけを印象づける狙いがあるとみられる。11月の豪州訪問時の首脳会談で、VFAについても大枠合意を目指す。

日本が豪州との関係を強化するのは首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」の一環。日米と豪州、インドの4カ国を中心にインド洋・太平洋の周辺各国が連携し、法の支配など共通の価値観の下に協力するという考えだ。日豪間の安保協力を南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対抗するための一歩と位置付ける。

豪州側も対中国を意識して日本に近づく。16年に野党議員(当時)が中国系の実業家から多額の資金援助を受けていたことが発覚しスキャンダルに発展した。当初は中国寄りとみられたターンブル前首相は17年後半から急速に対中強硬姿勢にかじを切った。後任のモリソン首相も中国に対しては同様の姿勢を保つ。

「中国が米国の地位に挑戦している」。17年11月、豪州が発表した外交白書にはこう記された。米国の存在感が相対的に低下し、代わって中国が台頭していると指摘した。豪州が「裏庭」と位置付ける太平洋諸国ではインフラ開発支援を通じ中国が影響力を増しており、豪州の懸念は強い。

地位協定は国内に外国軍が駐留する場合に定める法的な取り決めだ。日本は在日米軍の権利などを定める日米地位協定のほか、日本に置く朝鮮戦争の国連軍後方司令部のために朝鮮国連軍地位協定を結んでいる。VFAは共同訓練や災害救助など一時的に外国軍が活動する際の規定で、日本はまだどの国とも結んでいない。

地位協定がない場合、2国間で「日本の国内法を尊重する」などの確認を取る手続きが必要になる。9月に英陸軍と初めて共同訓練をした際にも同様の手続きを踏んだ。VFAを結ぶと、外国軍を受け入れる手続きが円滑に進むようになる。協定締結には、豪軍関係者が罪を犯した場合に、死刑制度を持つ日本の刑法で裁けるかなどの問題も残る。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3631706010102018PP8000/
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