古いレンズを買った(その2)

2014-02-08 | 機材のこと
200mmマクロレンズを買った。Aiマイクロニッコール200mmF4。Sではない方。幸いにして、生活を壊すような値段ではないのだが、物欲が止まらない。それはさておき。

主たる目的はマクロレンズ使用時のワーキングディスタンスの確保。60mmマクロでドアップの撮影をしようとすると、どうしても超近接撮影になる。フードなどつけようものなら、フードが被写体に当たってしまうくらい。で、どうしようかと迷っていたところ、古いマイクロニッコールなら3万程度で入手できることがわかり、ようやく決心したのだった。

調べていてふと気づいたのだが、どうも古い時代のマクロレンズは最大撮影倍率が1ではなく(200mmに限らない)、1/2のようなのだった。最初、Wikipediaで最短撮影距離を調べると、0.71mで、けっこう長いなと思った。AiAFマイクロニッコールは0.5m。20cmも違う。最初はスルーしていたのだが気になって見つけたのが、このページ>。最大撮影倍率自体は書いていないが、「中間リング使用で1/2から等倍まで撮影可能」とある。つまり、1/2から等倍までは「中間リング使用」が前提なのだ。

■中間リング
さて、、中間リングとは何ぞや??調べていてその存在を初めて知った。
実は、物理的にはただの金属の輪っかである。テレコンなどと異なり、中にはレンズはおろか、ガラスすら入ってない。これをテレコンのようにレンズとボディーの間に装着する。
ちゃんと調べ切れていないのだが、想像するにはこうだ。
本来一眼レフは光学的には厳密な設計がなされていて、いわゆるフランジバックなどは正確な距離がマウントごとに決まっている。しかしこれはおそらくオートフォーカスシステムの精度を保証するためだ。マニュアルによるフォーカシングを行うのであれば、少々長くなる分には問題ないのだろう(たぶん)。
こんなページがある。
あなたのレンズの近接撮影時の実効焦点距離(KENのつぶやき)
--<引用ここから>--
レンズが理想的に薄い単玉であった場合の、実効焦点距離fと、レンズ中心部から被写体までの距離a、レンズのバックフォーカス(中心部からフィルムまでの距離)b、撮影距離L、撮影倍率Mの関係は、下の絵の上段の様な関係になります。
(1/a)+(1/b)=(1/f)
M=b/a
L=a+b
--<引用ここまで>--
中間リングを装着する、と言うことはこの中でaの値を大きくすることに当たる。fが変わらないとすると(本当にそうなるかは私は知らないが、上記ページの実効焦点距離の表で比べると実はほぼ変わらないようだ)、相対的にbは小さくなる。結果的に撮影倍率は大きくなる、と言う話、、、。

中間リングは実はニコンも売っていたりする。ただの輪っかなのに、1個7千円もする、、、。しかも3種類あって、、、それを組合わせて使うとか書いてある、、。少し買う気が失せていたところ、こんなページを発見。
機材選びは楽しいね!■交換レンズ編(Caruli's Digital Cameras)
これを見るとリバースマウント用のアダプタBR-2A、BR-3を組合わせることで、中間リングになる、、とか書いてある。(リバースマウントの件はまた、別エントリで書くが、)これならとりあえず4000円程度の出費。これを中間リングとして試してみることにした、、。

■中間リングによる効果は?
最短撮影距離は実際のところどのくらいになるのか測ってみた。
中間リング無し=約71cm
中間リング有り=約67cm
当たり前の話ではあるのだが、中間リング無しで実測したとき、本当に(約)71cmであったことにはちょっと感動。中間リング有りだと4cm短くなった。正直なところ、もっと劇的に短くなることを予想していたので、差がわずか4cmであったことに少々驚いた。
最大撮影倍率についてはどうか?下の写真。ピントが合っている位置をわかりやすくするため、絞りは開放。1枚目は中間リング無し。2枚目は有り。
1枚目、ピントが合っている点での上から下まで長さはおおよそ48mm。これも厳密な測定ではないが、センサーサイズの縦24mmの2倍。つまり最大撮影倍率は1/2倍。


2枚目、ピントが合っている点での上から下まで長さはおおよそ36mm。これはセンサーサイズの縦の1.5倍。つまり最大撮影倍率は(約)2/3倍。


劇的ではないが、確かに向上した。ただ一方で、「等倍」を得たいのであれば、中間リングを追加するなどの手段を講じる必要がある。

■レンズ性能はどうなのか?
せっかく買ったレンズをマクロ撮影のみ、と言うのももったいないので、70-200F2.8と比較してみることにした。マイクロの方にはF2.8には無いので、F4~F22出1段ずつの比較。例によって、ここには載せづらい写真なので、コメントだけ。
以下では、、Aiマイクロニッコール200mmF4は「マイクロ」、AF-Sズームニッコール70-200mmF2.8G ED VR IIは「F2.8」と記述する。
・F4~F11の中央部。マイクロの方が少し解像度が足りない感じ。
・F4の周辺部。ポイントは二つ。マイクロの周辺光量不足がかなりきつい。中央と比較して4段前後落ちているのではないか?解像力の落ち込み。これもかなりきつい。
・F8の周辺部。マイクロの周辺光量不足はかなり改善された。解像力の落ち込みはまだまだひどい。
・F16の中央部。解像力の差はほとんど感じない。
・F16の周辺部。まだまだ差はあるが、マイクロの解像はモヤっとしている程度に改善された。
・F22の中央部。マイクロの方が良いように感じる。
・F22の周辺部。F2.8の方が良いものの、マイクロとの差はあまり無いといっても良い程度。
まとめると、、、
・基本的なレンズ性能はやはりF2.8の方が上。
・中央部から周辺部にかけての解像力の落ち込みはマイクロの方が大きい。
・マイクロの周辺光量不足はかなり顕著。
・光の回折の影響はF2.8>マイクロであり、絞り込むと解像力が逆転するほど。
言えることは、、、
・マイクロに3600万画素は多すぎる。
・F2.8は絞り込むとあまりおいしくない。

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