マルチショット撮影関連の話

2015-04-26 | 機材のこと
暗い場所での撮影となると、どうしてもシャッタースピードを抑えて明るさを確保することになる。しかしシャッタースピードを抑えると、ブレの心配が増大する。ISO感度を上げて対応することもできるが限度があり、機種によっては上げられないも同然の場合もある。
こういうケースのひとつの解決策(もちろん限度はあるのだが)として、N倍のシャッタースピードでN枚の撮影を行い、その画像を合成して1枚の写真に仕上げることで、シャッタースピードを確保する、と言う技術がある。
私が初めて聞いたのはもう数年前の話だが、そのときは携帯/スマホに搭載されるカメラ用の技術としての話だった。ちなみにこの技術を開発したのは日本のベンチャー企業。
が、、今ではもっと高級な機種にもその技術は投入されているらしい。例えばSonyのアルファシリーズとか。
デジタル一眼カメラ
SLT-A55VL
(Sony)
このページのマルチショットNRと言うのはまさにそれ。
あと、、同じくSonyのRX100にも同じ機能が載っているらしい。
「DSC-RX100」第2回――海外旅行のサブカメラとして使いこなす (2/2)(ITmedia)
この技術、ひとつ不思議な点があって、実際に6枚撮影される、とかなら、6枚撮影している間にカメラが動いちゃったらどうなるの?と言うこと。当然のことながら、この点はこの技術のキモの一つ。どうやっているかと言うと、1枚目から6枚目(6枚の場合)の間、カメラがどちらに何ピクセル分移動したという情報も合わせて記録し、合成時にその移動情報を使って合成するらしい。実際にはそんな単純には行かないだろうと思うのだが、ある程度高級な機種に載せても問題なし、と判断されているのだから、技術としての熟成もある程度進んでいるのだと思う。

1枚の写真を仕上げるために、実際には複数回撮影する。
こういう考え方については上に書いたようなシャッタースピードを確保する方向の話があるだけではない。

まず1つ目。
なんと、解像度を2倍以上に引き上げることも可能にしている。
Olympusのハイレゾショット。
http://olympus-imaging.jp/product/dslr/em5mk2/feature4.html
信じられない話だが、0.5ピクセル分(実質約1000分の2ミリ)ずつ物理的にセンサーを動かして、いるらしい。
目的はもともと1600万ピクセルのセンサーを使って、その2.5倍に当たる4000万ピクセルの画像を得ること。
上のリンクの内容を読むと、なんと、1枚の画像を得るのに8回も撮影しているらしい。
全然違うところで、関連の話を聞いた(見た?)ことがあるが、想像どおり、三脚使用が必須の機能らしい。

2つ目。
1つのピクセルでRGBの3色の情報をすべて取得するという話。これは、ベイヤー配列の話を知らないと、何を言っているのか、まったくわからないと思うが、、、。
Pentaxのリアル・レゾリューション・システム。
http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2015/20150423_007348.html
1ピクセル分物理的にセンサーを動かしているらしい。
こちらは上記のページを読む限り、要はベイヤー配列の緑赤青緑の4色(実質3色だが)を1ピクセルで全部取得するための仕組みらしい。
、、、ただコレって、実はすでに全く違う方法で、シグマで使われているFoveonセンサーで実現されている話。技術的な新しさは確かにあるのだが、得られる画像に関して、シグマに対する優位性はあるのだろうか?優位性が無ければ、すごく残念な技術、ってことになってしまうのだが。

まあ、もともとPentaxは手ブレ補正はセンサーシフト方式なので、センサーを動かして何かやることに関しては、けっこうノウハウを持っているようには思う。それだけに、残念な技術にならないように、、。

、、ちなみに、ここまで、ニコン、キヤノンの名前なし、、。
おそらく研究自体はいろいろやっていると思うが、いずれもかなりニッチな感じは否めない技術なので、よほど「コレは行ける!」ってならないと採用されない、もしくは隅っこでこっそり盛り込まれてるとかになってしまうんじゃないかと思う、、。

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あとこちらは、、スチルカメラにはあまり関係ない気がするが、動画のフィールドでもピクセルシフトの技術が使われているらしい、、と言うお話。2009年なので、少し前だが。
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2009/06/64_06pdf/a04.pdf