ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 154ページ目 盲目のソムリエ  ショックを受ける  

2015-04-12 00:53:03 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【154ページ】



「介護福祉施設で2年間働き、勉強してからという条件で受けました。

それで、まず大手の介護福祉施設で働いたのですが、ショックを受けました!」


「何があったのですか?」と和音が訊く。


「今朝の新聞にも載っていましたが、9000近い介護関係の施設で、実に1500以上の

施設で高齢者への介護虐待があったそうです。

ショックを受けたというのは、私も実際に働いてその状況を目にし、その時、

これは必然的なものだと感じとったのです。」


 大沢理事長は、シャトー・パルメをぐいっと飲み干した。

専属ソムリエの打田は、それを見てグラスにシャトー・パルメを注ぐ。


「介護施設の経営という観点からすれば、入所者を多く、介護士を少なくすれば」

儲かるよね?

するとどうなりますか?」


「介護士の負担が増えます。」と和音が答える。


「そうです。

介護士一人の担当する人数が増えると、徘徊したり、暴れたりする人には

長時間の拘束という手段をとるようになる。

また介護士のストレスが溜まり過ぎると、要介護の高齢者に対するいじめ

なんかも起こってくるのです。

私は、介護福祉施設で働いた最初の一年間は、どうしたら思いやりのある介護が

でき、経営も成り立たせることができるか考え続けました。」


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