ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 168ページ目  籠立場(かごたてば)に着く

2014-11-05 14:16:55 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【168ページ】


 晴数との距離が5mになったとき、イノシシは閉じている目に光を発している

標的に向かって飛んだ!

その標的を突き倒したと思った瞬間、目に感じていた光が消えた。

イノシシは目を開けたが、周りは暗闇であった。

イノシシの頭の中は真っ白になった。

目標物を失ったイノシシはスローモーションのように感じながら落ちて行った。

ドスンを地面に落ちたときは、バランスを崩していて、前のめりになった

顔をそのまま地面に打ちつけ、登山道の坂道を転がり落ちて行った。


 晴数は、イノシシがジャンプする直前に、ヘッドライトと懐中電灯を消し、

道の脇に移動していたのであった。

晴数は、イノシシが落ちていくのを見た後、山椿姫と再び登山道を

登っていって籠立場(かごたてば)に着いた。

晴数はヘッドライトを案内板に当て、説明書を読み始める。



ここは、熊野古道(熊野街道)八鬼山道の「籠立場(かごたてば)」である。

江戸時代、紀州藩主や幕府巡検使が通行するとき、乗っている籠を止めて、

小休止した場所である。

ここから先の「江戸道」は、急坂となるので、お供の行列は、槍も担いで

登ってよいことになっていたので、一名「槍かたげ」とも呼ばれている。


 ここまで読んだとき、「ウー」という唸り声が聞こえてきた。