ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 15ページ目 美しい切子のワイングラス

2012-10-09 22:41:50 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【15ページ】


 鯵元社長の専属ソムリエは、和音のグラスにシャトー・ラトゥールのセカンドワインである

レ・フォール・ド・ラトゥールを注いだ。


「どこまで話をしていましたか?」


鯵元社長が和音に聞くと、


「レストランで出会った女性に電話をかけたところまです。」と和音が答えた。


「そうそう、電話に出た彼女にお礼を言って、食事に誘ったのです。」

「彼女の返事は?」

「ええ、イエスでした!それをきっかけとして、デートを重ね、結婚に至ったのです。」

「まるでドラマで見るようなハッピーエンドですね?」

「実体験はドラマ以上でした!

彼女とレストランで食事をしていた相手は、婚約者だったのです。

それも取引先の大手スーパーの社長の息子だったのです。」


和音は、レ・フォール・ド・ラトゥールを飲み干した。

そしてまたこのワインを飲みたくなった。

鯵元社長の専属ソムリエは、三度(みたび)注いだ。


「当然、彼女の父親からは、付き合うことさえ反対されたのですが、結局彼女は駆け落ち同然に

私と結婚しました。それがもとで彼女の父親の会社は、大手スーパーとの取引がなくなり大きな

損失を受けてしまったのです。」

「いや、ほんとにドラマ以上ですね?」


和音は、ワイングラスを口に近づけ、飲み干した。