某銀行員日記

とある銀行員の日常を書いたブログ。政治・経済・文化・芸能、硬軟取り混ぜて日々思ったことを主に書きます。

銀行からお金を借りる方法

2010年09月02日 06時16分57秒 | 銀行の話
よく融資の相談にくる方の中に、「私の家や土地を担保にお金を貸してください」という人がいます。
大体そういう人は、担保があればお金を貸してもらえると思っていることが多いようです。

しかし、銀行は担保があるからといってお金を貸すことはありません。
銀行からお金を借りるときに必要なのは、その借金を返すことができるという証明です。

いくら担保の価値が何十億あろうが、収入と支出がプラスマイナスゼロ、もしくは赤字で返済ができない場合はお金を貸すことはありません。
逆に担保はなくとも、明らかに収入と支出の差額がプラスで、返済していけるのが明白ならばその返済できる範囲でお金を貸してもらえるでしょう。

担保はあっても返済ができないような人は、お金を借りる前にその担保を売却すればいいわけです。
銀行は不動産業者でも古物商でもありませんから、担保を処分するのに積極的ではありません。
担保を処分して借り入れと相殺するのは最後の手段なのです。

逆に言えば、いくら担保がなくても返済していけるということが証明できれば銀行からいくらでもお金を借りられるということです。
しっかりとした事業計画をたて、厳しめの売り上げ予想をつくり、ちゃんと銀行の担当者にそのことを説明し、わかりやすいデータを提出できれば、銀行からは簡単にお金が借りることができます。

しかし、現実は穴だらけの事業計画で、甘めの売り上げ予想をつくり、それをろくに銀行の担当者に説明もしないまま自分の希望的観測をのべるだけでお金を貸してくれという人がほとんどです。
むしろ、いくら必要だからと逆算で売り上げ予想と事業計画を作るため、無茶な内容になっていることの方が多いように思います。

無理なことをせず、分相応に着実に地道にやっていけば、銀行のほうから融資の話がやってきます。
そのときに初めて事業の拡張を考えればよいのです。

もちろん無理なことをして成功したところもありますが、そういった成功例はほんの一握り。
死屍累々の山の上に咲いた一輪の花といったかんじです。
銀行からお金を借りるには、まず自身の状況を客観的に見てみることが必要です。

とはいえ、今事業をしている人にはそんなことを言っている余裕はありませんよね。
日本は失敗に非寛容な世界ですから、一度会社をつぶしてしまうとそこから復活するのは非常に厳しくあります。

しかし、それでいいのではないでしょうか。
何も挑戦し続けるだけが人生じゃないのではないでしょうか。
人手が足りない業界は山ほどあるわけで、自分で事業をすることにこだわる必要はないでしょう。
そしてそれに応じた生活をするのも一つのやり方だと思いますよ。

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