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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

峠 最後のサムライ

2022-10-31 16:57:11 | 邦画
小泉堯史監督といえば、黒澤一家最後の生き残りである。したがって黒澤明監督の映画製作を十分に知り尽くした人であるからして、作風というかこういった時代劇の画風というか絵作りや演出において、確実に黒澤映画のメソッドを受け継いでいる訳で
そんな画面の隅々まで
というか大道具の一つにも小道具にも
さらに足軽鉄砲隊を演じてると言っていいのかわかんないけども
 
エキストラ一人一人が見事に小泉監督の思いのままの動きを見せてくれて一分の隙もない作品に仕上がっていて
クズ映画好きな私には画面の隙のなさと小泉監督の意を汲んだスタッフたちにも、この作品で黒澤イズムと言った伝統が受け継がれていたような作品
個人的には先に書いたように私にはこの隙のなさに息が詰まってしまった作品
 
日本映画を積極的に見ていこうという企画と、ジャンルが時代劇ということだけで
セットに組み入れてきましたが
これって先に見ていた「燃えよ剣 」同様に司馬遼太郎の同名長編小説を原作に、
徳川慶喜が大政奉還したにもかかわらず薩摩が天下を取るべく、長州と一緒に江戸に攻め入ろうっていう今でいうところのポツダム宣言受け入れて完全降伏したにもかかわらず
北海道を占領しようと日本が敗戦宣言した途端に北方領土に攻め入ったソ連と一緒やん
 
お陰で官軍が江戸に攻め入るルートの一つに長岡藩が存在してて、佐幕でもないたかが知れた小藩である長岡藩に官軍が迫り
意を決した家老河井継之助がならばお相手仕ると言ったかどうかはわかりませんが官軍が江戸に行くなら我が屍を乗り越えて行けよとばかりに官軍にヤイバを向けたお話だったのね
正直歴史的な知識がない私にはこの映画を見てそう感じたんですけども
間違っていたらどなたかご訂正頂ければ幸いですが・・・
 
智謀に長けた人物の、最期の一年間にだけ焦点を絞っての映画でしたが、彼の生き方というか死に様というか、智将としての存在感は映画から伝わってくるものの
彼自身が官軍となぜ戦ったかとかと言った心境は映画からは伝わってきませんでしたねぇ
ただただ大きなものにぶつかって滅びに殉じていく姿を静かに描いた作品だったし
劇中日本に三台しかないガトリング機関砲が長岡藩には二台もあるって言いながら
ガトリング機関銃のシーンがあまりにチープでして、って映画で描かれる野原一台だし
っていうのもこれも黒澤流のいいとこなんでしょうが固定カメラで撮っていてガトリングから火を吹く射撃シーンは十分にあるものの、撃たれた方の切り返しがない訳で・・・
我々は機関銃で撃たれて倒れて行く兵士たちの姿も見たい訳なのよね
そんな構成ですからガトリング機関砲が全く映画的なケレンとして生きてないわけよ

副題にあるように“サムライの美学”といういわゆる“滅びの美学”を河井継之助という人物への監督自身の陶酔に溺れすぎを見せられてもなぁ
それが映画としてじつに静かな時間として流れて行くのは正直私には辛かったし全く泣けない作品だった
いずれにせよクズ映画好きな私には黒澤イズムは全く受け入れられなかった訳でしたねぇ
 
2020年製作、日本映画、「峠 最後のサムライ」製作委員会作品
司馬遼太郎原作、小泉堯史脚本・監督作品
出演:役所広司、松たか子、香川京子、田中泯、永山絢斗、芳根京子、坂東龍汰、榎木孝明、渡辺大、AKIRA、東出昌大、佐々木蔵之介、井川比佐志、山本學、吉岡秀隆、仲代達矢、矢島健一

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