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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

浅草の侠客

2024-09-11 18:45:53 | 邦画
沢島忠監督の東映映画の新鉱脈第二弾「人生劇場 続飛車角」の後塵を受けて着流しやくざの東映映画、まだ新鉱脈として海のものとも山のものともわからぬ手探り状態ってことでやくざの世界観の中で男も女も愛に悩み、恋に溺れてゆく様を任侠の世界を借りて作っているだけのお話ですから
一応この「人生劇場 飛車角」で主題歌を担当した村田英雄が、なんとメインとなって大正期の浅草を舞台に、
親分子分三人きりの組を守り通して夜は演歌師として稼ぐ昔気質の一本気なってやくざを演じていて面白い。
 
実をいうと東映さんでは任侠映画に村田英雄北島三郎の演歌歌手二人を起用して何本も彼らメインの作品も作っているものの
わたしが任侠映画のバイブルとして使わせてもらってる永田哲朗著の『血湧き肉躍る任侠映画』と言う本には
この村田先生の「浅草の侠客」と言う作品は載せられていないんですよね
 
先にちょっと書いているんですがこの作品任侠の世界を借りてのある意味男と女の恋愛模様を三角四角の姿で描いた作品と言った方が正しいのかもしれない
親分と一緒に下宿させてもらっている今川焼屋の娘藤田佳子は村田英雄に恋をしており
その気持ちをしってか知らぬかちょいちょいかけてくるカマをかわしつつ亀石征一郎のスケコマシから救いオペラ座の座長に紹介して踊り子になった宮園順子の純な姿に恋心を抱く村田先生
知ってか知らずか男村田英雄は美女二人に惚れられる男の中の男として敵対する組の杉浦直樹と名古屋で組長の妾に手を出して名古屋から追われて来た学生千葉真一を助けてやったことから、任侠と恋愛の両面で映画は転がっていくと言う
つまり任侠映画が全盛期に敢えてそこは避けてきた男女の恋模様を中心に描いてる点が任侠映画史を語る上ではある意味貴重な作品だとは思うんだけど・・・
 
その恋模様もなんと千葉が宮園に恋心を抱き
女の意地というか命をかけた男への想いを藤田が宮園に告げたことで村田先生は恋模様の顛末に巻き込まれずに
千葉=宮園の恋を成就させさらに藤田との愛に生きることでなんときっちりと治めてしまうプロットのうまさ
 
そしてクライマックスでは杉浦が自分の親分である沢彰謙の姑息さにいやけがさして村田側について悪党一家が振り回すヤッパの下を掻い潜りながらひたすら腕力だけで乱闘してる最中にエンドマークが出ると言う
ここいら結末をつけないで終わらせるっていうのは最初の「人生劇場 飛車角」のあのラストを踏襲して見せたのだろうか?

1963年製作、日本映画、東映作品
佐伯清監督作品
出演:村田英雄、杉浦直樹、千葉真一、藤田佳子、宮園純子、黒岩美代子、筑波久子、佐伯徹、山田巳之助、沢彰謙、室田日出男、佐藤晟也、亀石征一郎、月村圭子、須藤健、神田隆、松岡葉子、大東良、西川賢、関山耕司、不忍郷子、北山達也 、八名信夫、山之内修、小塚十紀雄、伊藤慶子、須藤健
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梟 フクロウ

2024-09-11 05:05:46 | 韓国映画
私自身ネタバレは必要なときはしますが基本ネタバレはしない人だと自負しておりますが
まさか映画タイトルまぁハングルでの意味は完全不明とは言っておきますがついてる英題が”Owl”ですからねぇ
映画自体見る前から完全ネタバレさせてる作品
 
韓国時代劇である。オープニング17世紀朝鮮王朝時代の記録書『仁祖実録』に記されたお話とスーパーが出るものもちろんフィクションである
主人公は盲目の天才鍼師で全く目が見えない・・・それが前提で一応映画は始まる
前半はある意味登場人物の人員整理やら紹介で結構見ててもの誰がどうなってどう言うんだって言う紹介が見てても分からなくて辛いものがある上に
韓国人の名前も覚えづらいし
なんか宮廷のというか王室の人間関係のごちゃごちゃも覚えづらいものの
結構ここを見飛ばしてもお話しの筋は一本なので後半になると王様と孫さえ覚えていればこの映画の面白さは完全に伝わる

宮廷内でも王様でも自分の子供だろうが誰だろうが地位といのちを狙っているって疑心暗鬼がいつしか妄想に・・・
妄想が講じれば権力者は自分にあだなす者たちをつぶしにかかるそれが実子だろうが誰だろうが・・・
そんな時宮廷での“怪奇の死“にまつわる謎を、盲目の鍼師が目撃者として最後に暴くというお話
 
まぁタイトルがネタバレしてる通りで主人公の鍼医ギョンスはフクロウと同じ目をした盲目の鍼師
劇中でバラされていますからいいよね
明るいとこでは見えなくて暗いとこではなんと目が効くという人
まぁ韓国の宮廷での権力の座につくと親が子を殺し。孫を島流しにして、最後にはいつも命を王位を狙われるという惧れから自分は狂っていく様をもしっかりと見せてくれる
前半の人物紹介のワケワカメに比して
 
後半のために作られた映画、後半の半端ない映画的なスリリングなたたみかけは前半があってこそ生化されていたようですね
そう鍼医ギョンスは痛いけな命を守るために自分のヒミツをばらしてまでも自ら目撃したことを話すが王は王様であるために
周りも権力を失いたくないから王は王として自分たちとの利害を合致させて王様をそのまま君臨させて自ら王という神輿を担ぐんですね
 
そこに正義はなくみんな自らの権力を失いたくなく最後にはギョンスまでも犠牲にしようとするが
下士は権力の座についてなくギョンスは救われる・・・
ここいらちょっとご都合主義ですけどね

韓国の映画ですから歴史書云々と言えどもそこにフィクションをきっちりと絡ませて一本の娯楽映画として作っている
派手なアクションもないものの人間の権力にしがみつく醜い世界を描くだけで立派な娯楽作品に昇華させて見せる韓国映画の底力を見せつけられた作品

2022年製作、韓国映画(日本公開作品)
アン・テジン脚本・監督作品
出演:リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン、チェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフン、キム・ソンチョル、アン・ウンジン、チョ・ユンソ
コメント (2)
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