MOMENT

レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

ギャング対Gメン

2024-03-04 20:08:54 | 邦画
この時代東映だけでなく、日本映画界っていうか五社がTVに押されて
観客動員を大きく減らす中
自社直営館の番線を埋めるためにほとんどの会社がアクションと暴力にその活路を求めていつつも
番線埋めるのに汲々としてる中で監督に昇進しての監督作としては5作目にあたるのかな監督作品としては5作目の深作欣二作品

3月3日の東映チャンネルのゴールデンタイムでリアルタイムに見ていた作品
一応カラー作品でしたしたからシスター(併映作品)ではないメインプログラムだったのかな
結構俳優陣がそれなりに豪華であるものの
ギャングとタイトルについてるがいわゆるヤクザっていうか暴力団ですから
この後着流し任侠作品という大鉱脈を当てるものの
シノプシスにほとんど変わりない
っていったら身も蓋もないものの
所詮映画は時代という新しい革袋に古い同じ酒を入れてるだけの世界なのね

街を牛耳るヤクザ組織に潜入させた警察官が殺された警察組織
警官の潜入を止めさせて
しょせんヤクザにはヤクザをと
地元を牛耳るヤクザ組織から足を洗って今では堅気の運送屋を営んでる鶴田に白羽の矢を立てて
丹波率いる組織の壊滅を画策するっていう
ある意味荒唐無稽なお話でして元ヤクザがいわゆるスパイってことでGメンに当たるのね

まぁ鶴田の弟に千葉真一さん、まだまだお若いけど、勝手に敵側に潜入して兄貴と別働で行動するものの丹波の奸計にはまっていのちをと落とす
ギャングの資金源が密造酒でラストのクライマックスでは密造酒が火炎瓶として結構役に立つんですね
やっぱ曽根晴美さんが・・・
梅宮辰夫さんは儲け役でしたよね

丹波哲郎さんが事務所でコップ入りの牛乳を離さずに飲んでるんですが
これって「日本統一」シリーズで成瀬さんがパック入り牛乳を飲んでるんですが
この作品から成瀬さんがいただいたんだろうなって見てましたが・・・
まだ深作さんの切れ味のいい演出はなく無難に作った一本だと言えるかな
鶴田×丹波×深作は「解散式」で見事な昇華をと見せるんですが
まだその域に行けてなかった作品

ただ80分という尺ですから見てる分には退屈しない
一応岡田茂が製作と言うことで“岡田茂生誕100年【東映映画 百花繚乱】”特集でOAされた作品だったのね

1962年製作、日本映画、東映作品
深作欣二監督作品
出演:鶴田浩二、梅宮辰夫、千葉真一、曾根晴美、沢たまき、砂塚秀夫、佐久間良子、神田 隆、織本順吉、沢彰謙、富田仲次郎、小林重四郎、加藤嘉、丹波哲郎
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あしたの少女

2024-03-04 05:05:04 | 韓国映画
いや、実に重たい映画でした。2017年に韓国で実際に起きた卒業を控えて社会実習に大企業のコールセンターに実習生として勤めたJKの自殺事件をモチーフにして作られた、実話ベースの
二部構成の韓国映画
なんとオールインじゃなかったライツキューブから2月25日にリリースされた韓国映画
一時なりを潜めていた韓国映画ですが、2月も見応えのある作品がそれなりにリリースされましたねぇ

JKのソヒは担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され実習生として働き始める。
しかし会社は顧客の解約を阻止するためにマニュアルを作って契約更新させるという方針で、そのために従業員同士の売り上げ競争を煽り就労契約書で保証された成果給も払おうとしなかった。
そんな中、若い男性チーム長が自殺をした事によって、ソヒは仕事が嫌になるのと未払い成果金も払ってもらえないまま、学校も彼女がこの仕事を辞めたら後輩の就労に響くと脅してくる始末。そんな中で彼女はある日凍てつく真冬の貯水池から水死体で発見される・・・
で、この自死までが2時間18分もある映画の1時間20分くらいかけて丁寧にソヒの視点だ綴られてくる

で、後半の1時間弱の尺は、自殺したソヒの足取りを一人の女刑事の視点で追っていくわけで
まぁ普通の韓国映画であるならば自殺の書類一枚で収めてしまうのが韓国の警察官
しかし、この女刑事はJKの自死の意味を探っていき
現代韓国が抱えてる大企業の闇を見つけ、教育機関である職業高と大企業とのこれまた不可侵というか暗黙の闇構造を炙り出していくものの
そこは一介の地方警察の刑事ですから教育庁にまで及ぶ構造的な闇にぶつかるものの
そこにまで彼女自身が追求していくわけにもいかず・・・

こんな歪んだ営利主義の韓国の社会構造の歪さにまではなんとかひとりの刑事でもたどり着けられるものの
これ以上前に進むことさえ難しいもどかしさを我々に示す
まぁ示されたこっちも観ていていたたまれないだけではあるんですけどね
一応問題提起にはなってる作品

まぁ、それにしても韓国の社会構造は酷いよね。って日本も過重労働で自死が起きてたりするから
ある意味同じようなもんですかねぇ企業第一主義だから起きる歪みなんですよね
この映画、先に書いたように前半は被害者って言っていいんだろうっていうJKの視点で描かれ
後半は自殺を証明して事件を終わらせるはずの刑事がJKの自死が社会構造の闇に踏み込んだものの
刑事自身もそのおっきな歪んだ社会構造を前にして何もできないことを思い知されるっていう二重構造なのね
しかし、高校は自分の学校の成果のためであり、決して生徒のためではないって言うことなのね
企業は資本主義の根本であるお金儲け第一主義
官公庁でさえ自身のことなかれ主義の現代社会の中で一般市民は一体どこまで泣き寝入りすればいいのか
そう刑事でさえ真相に肉薄していけるけど組織の前では一人の公僕でさえ何もできはしないという
 
いろんな問題を提起してる作品だったかな

この作品の邦題は「あしたの少女」だけど英題は「次のソヒ」ってことで
社会が変わらない限り、ソヒみたいな子がまだまだ出ますよ的な事を伝えたかったんだろうなぁ
 
2022年製作、韓国映画(日本公開作品)
チョン・ジュリ脚本・監督作品
出演:ペ・ドゥナ、キム・シウン、チョン・フェリン、カン・ヒョンオ、パク・ウヨン、チョン・スハ、シム・ヒソプ、チェ・ヒジン
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