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レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、残日録。

あぶく銭

2022-03-11 23:30:52 | 邦画
日本映画専門チャンネルの“蔵出し名画座”での今月のプログラムは
大映末期の勝新主役のプログラムピクチャー
そうなんですよねスタジオシステムだからできるプログラムピクチャーの一本でしょ
大映も屋台骨がもう完全にやばくなった1970年に製作された作品
蔵出しって言うだけあって勝新作品でも未パッケージ作品
 
オープニングで勝新、藤岡琢也に酒井修の三人組が
勝新さんのコルトピースメーカーでの賭場荒らしで、三人のキャラクターを見事に表してくれる
そんな三人組が港町に流れ着いたが、その港町は橋本組と磯部組の二大勢力がシマ争いをしていた
賭場荒らし三人組は、ふと入った大衆食堂で橋本組二代目襲名花会の話を小耳に挟んで
その花金を強奪しようとしたら、彼らの前でなんと花金強奪が始まり
その争奪争いの隙をつき花金を手に入れるが、
その金が橋本組の磯部組への借金返済用の金であったと知り
さらに橋本組が花会のテラ銭用に借金していて
 
高城丈二演じる代貸の俠気(おとこぎ)に惚れた勝新さんが橋本組の窮状にほだされて金を返そうとするものの
隠し場所にお金がなくて・・・齷齪するお話
野川由美子さんがこの町の娼婦を演じているんですが
野川由美子さんには小ネタが仕込まれていましたが
なんとヒロインは水野久美さんの方だったんですね
そして殴り込み因縁要因だったとは
 
いや天知さんが二番手にキャスティングされてるのになかなか登場してこずに
完全にクライマックスのために用意されたキャスティング
いや、殴り込み要因と言っていいだろう、ある意味風間重吉みたいな役所でしたねぇ道行といい
 
そして森一生さんの絵が素敵
クライマックスでの殴り込みでの立ち回りには俯瞰と仰角映像で建物の立体感を出していて
いやもう倒産寸前とは思えぬほど画角に合ったセットをきっちりとの組むという
活動屋さん魂はさすがですねぇ
 
勝新さん大映マークでは最後の作品になるのかしら
もうここに出演されてる男優さんたちは酒井修をのぞいてみんな鬼籍の人なんだよね
そういう意味でも映画はちゃんと残ってるっていうのは
いいもんですよね
 
1970年製作、日本映画、大映作品
森一生監督作品
出演:勝新太郎、天知茂、野川由美子、藤岡琢也、高城丈二、水野久美、酒井修、成田三樹夫、北城真記子、水上保広
 
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ビースト

2022-03-11 17:12:51 | 韓国映画
ホントなんかお久しぶりな韓国映画らしい韓国映画
どうやらフランスのノワール映画「あるいは裏切りという名の犬」のリメイク作品だそうですが
見事に韓国映画の人の心の中に潜む闇の部分を前面に押し出してきて
その葛藤の様を私の韓国映画に求めてるドロドロを臆面もなくさらけ出してくれる作品に仕上げていて
オリジナルをこれほど見事に換骨奪胎して、
まさに韓国オリジナル作品といってもいいように仕上げてくれてる作品
 
二人の元相棒だった殺人課のハンスとミンテの二人の班長
出世争いだけでなく、過去に色々あったようで今では反目し合うように犯罪捜査の主導権争いをしている
そこから一人が転落していく様を韓国映画特有のエグみで描いていく
 
捜査1班を率いるハンス、2班を率いるミンテは、反目しあっておりハンスは容疑者を早々に逮捕したが、ミンテは自己判断で独自に冤罪との独断で釈放したことで、容疑者は警察署をでたところで被害者家族に刺されてしまう
こんな感じで二人の溝はますます深まっていくのだった。
そんな時にハンスが使っていて、今では刑期満了間近の情報屋のチュンべが、釈放前の社会復帰の一環として仮出所の日に呼び出されたハンスは、彼の目の前でさらに彼の銃で告発者を射殺されてしまう
猟奇殺人事件の情報を提供する交換条件として、殺人の共犯になるように要求されて
二進も三進元いかぬ状況に落とされて
ハンスが右往左往していく様が実に韓国映画らしいのよね
 
ベテラン刑事が犯人に脅されて証拠を隠滅したり
逆に脅されたりと実に韓国の警察官らしい姿を見せつけてくれる
 
一方もう一人のミンテは捜査そっちのけで遅れをとったことから、ハンスを追い詰めていくわけですが・・・
結局殺人を隠蔽させられた情報屋から得た情報でハンスは容疑者のアジトを突き止め、殺人班総出でアジトに突っ込んでいくのだが
そこは悪の巣窟でなんと麻薬班が内定してて
これまた主導権争いのあげく突撃という結果からもう警察と犯罪組織との大乱闘で事件は解決へ向かうかに見えたが
 
情報屋と海に沈めたはずの車が引き揚げられ、凶器に使われた拳銃の銃弾が発見されてしまう
焦ったハンスは証拠の自分の弾と違う弾との証拠隠滅を図るものの
ミンテに情報屋との関係から疑惑の目を向けられて・・・

あせれば焦るほど泥沼にはまっていくハンスの姿は実に韓国の悪徳デカという姿を見せてくれる
ジワジワと追い詰められていくハンスの姿を通して緊張感が持続する、人の心の中の獣性との闇を描いた実に韓国映画でしか表現できない作品と言っていいだろう
”ビースト“という表題にふさわしい作品だった。
木下工務店が輸入してるに全くふさわしい作品と言える
 
2019年製作、韓国映画(日本公開作品)
イ・ジョンホ監督作品
出演:イ・ソンミン、ユ・ジェミョン、チョン・ヘジン、チェ・ダニエル
 
コメント (2)
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