蕗と三つ葉

    

　　　　　　　　さ庭辺の蕗と三つ葉の若萌が仄かに香りわれを止ましむ

　　　　　　　　若萌を夕餉の汁にと三つ葉摘む指先を春の香に染めながら

　庭に出て見つけたものは他にもありました。春風に乗って何かが仄かに香って来ます。足を止めてしゃがみ込んでよく見ると、三つ葉がさ緑色の艶やかな葉を広げていました。その向こうには蕗がぎざぎざの丸い葉を広げていました。ああ春の匂いだなあと嬉しくなりしばらくその香りの中に包まれていましたが、急に今夜はすまし汁を作ろうと思い立ち、若い三つ葉を何本か摘みました。