『観光案内人』
赤紫のローブ・・・皇帝(身分標識)だろうか。
三つの集合住宅(模型)をもつ硬質(金属)なビルボケは、三つの国を征服あるいは強力な支配力を持つ者であり、火炎を吹いているのは戦闘における勝利の表明である。
歴史上の幻と化した人物が現代に現れ、観光地になったこの地を高らかに胸を張って案内し説明しようとする光景ではないか。
背後に二体、合わせて三体のビルボケである。三体はそれぞれまるで別々の方向を向いている。協力し合ったというより、戦乱の三体なのかもしれない。
今は昔の物語を今によみがえって語ろうとする観光案内人の滑稽さ。
「もし(現れたならば)」の話を空想し、今また権勢を一手に掌握する独裁者を揶揄し、被せて描いたものではないか。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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