続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『旅行者用折り畳み品』

2016-11-12 06:35:29 | 美術ノート

 『旅行者用折り畳み品』

 奇妙なタイトルである。極力荷物を少なくまとめるというのは旅行者の心得であり、そうしなければ旅行本来の目的に負荷がかかってしまう。

 折り畳み・・・確かにコンパクトな印象を受ける。しかし、その物はカバーである。
 カバーとは言わずと知れた本来の目的物を保護するための被いにすぎない。

 Underwood社のタイプライターのカバー、カバーであるということは中身がないということでもある。もしかしたら中に有るのではないかという可能性も過る。
 見えていないが、カバーの下にはカバーされている物があるはずだという確信さえ抱く。しかし展示を見ると、明らかに空である体を呈している。

 ズバリ、カバーオンリーである。これが『旅行者用折り畳み品』だという。
 長い旅…人生の比喩かもしれない。人生における言葉の数多(思考)がこの折り畳み品であるカバーの中に風(空)になって潜んでいる。カバーを開ければ、幾多の言葉の層が積み重なり、幾多の言葉が解放されて宙に霧散していく。

 タイプライターのカバーは、折り畳み(隠して)持つ人生の旅の必携である。


(写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより)

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