愛犬耳袋

 コーギー犬・アーサーとの生活と喜怒哀楽

凛々しい名前

2006年10月25日 | 愛犬の日常
 オスのコーギーの子犬、後の愛犬アーサーを迎えると決めた時、我が家では既に名前を考えはじめていた。
 飼い方ガイドなどを読むと、犬の名前には

・母音がはっきりしていて
・簡潔で短いもの

 が飼い主も呼び易く、犬も認識し易いとあった。本によっては、

・最近は可愛いイメージの食べ物の名前(ミルク、チョコ、ココア、マロンなど)が流行っている
・おおらかなイメージの名だと犬もおおらかになる

 などの情報もあった。
 流行の名前はかわいいし、呼び易いのだけど、コーギーはバリバリの使役犬だし、しかも子犬時代から巨大になる兆しをもったオスに、スイーツも無いだろうということで、これは却下になった。
 残るエッセンスを総合しつつ、コーギーの原産国であるイギリス、ウェールズにゆかりのある名前ということで、アーサーという名に落ち着いた。呼び易く、聞き易く、おおらかで、王にあやかって凛々しく、健やかに。盛りだくさんの願いを込めて、かの地の伝説の王の名前を頂いたわけである。





 ここだけの話、犬雑誌をパラパラ見ていたとき、「ランスロット」という名をつけられたコーギーが掲載されていた。ランスロットはアーサー王に仕えた円卓の騎士の一人である。じゃあ、その上をいく“王”にしましょう、と単純に張り合った部分も無くは無い。

 しかしアーサー王伝説によると、ランスロットはかなりの男前で、アーサー王の妃とデキてしまう。そういう意味では「アーサー」は女運の無い名前とも言える。
 実際、今現在の愛犬アーサーはメスに興味が無い。むしろメスよりオスが好きなぐらいだ。女運の無さはすでに似ているかもしれない。



「ニンマリ」


 ところが、王にあやかれた部分はこれっきりといってもいい。後は皆無、伝説の王などとはおこがましく、名乗れない犬になってしまった。
 喜怒哀楽がすぐ顔に出るし、愛嬌がありすぎて凛々しさに乏しい。わがまま気ままも極まれり。食べ物が絡むと理性が飛ぶため、散歩仲間の間でも一二を争うほどの馬鹿と評判だ。
 事実、アーサーが我が家に来てから、何度「アーサー」という名を叱り飛ばしたか分からない。もう、英雄でも王でもない。
 犬の躾上、名前を呼んで叱るのはタブーらしいが、とっさの事態には、カッとなって口にしてしまうものである。

 しかもこれが、意外なところで弊害をもたらしていた。
 お散歩仲間の間にアーク君というレトリバーがいる。彼は大きな体に、とてもとてもやさしい心根の持ち主である。ところが「アーサー」と「アーク」の音が似ているせいで、アーサーを叱り飛ばすと、アーク君をビビらせてしまうのである。
「アーサー!」
 と怒鳴ると、アーク君がびっくりし、飼い主さんの脇や後ろにピッタリ付く。
 ところが当のアーサーは、叱られてもサッパリ堪えない気の強さで、ケロリンパとしているのだ。気の強さというか、鈍さだけは王者級だ。まったく。



黙っていれば多少凛々しいのに。


 これから仔犬の名前をつけるという人には忠告したい。自分がカッコいいと思う名前をつけるのはおやめなさい。最低1年は自分が憧れた名前を罵り、半ば飽きれながら、叱りつづけることになるからである。
 愛犬の名前は、ご近所の犬と似ていないもので、叱り易い名前がいいと、切に思う、今日この頃である。



ファ~ア