３００文字小説 涙の音

　涙の音って聞いたことありますか。
　最初、目が熱くなって周りがぼやけてきたら、突然パシャって落ちるの。
　そう、薄い薄いガラスのシャボン玉が落ちて割れる音。
　そうしたらポタン、ポタンって本当に大きな水の玉が落ちるの。
　これは水の塊がそっと置いても、自分の重さで割れる音。
　次の瞬間、ポタ、ポタ、ポタ、って水滴の落ちる音になってから
　ポタポタポタポタポタポタって続くの。
　これは水の玉が次から次にぶつかって割れる音。
　人って本当に水で作られているのですね。
　目からどうしてこんなに水が出るのってくらい出るの。
　声は心の中で出し切って、外には出てこないけど。
　このまま涙になって溶けてしまいたい。


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