楓荘日記

米女優サンドラ・ブロックの情報を中心に、洋画、日米ドラマ、本など、思いつくまま書いていきます。

果たしてラジー賞に値するか……?

2010-04-14 01:33:34 | 映画感想

 2009年9月に全米公開され、昨年度のサンドラ・ブロック主演作3本中、1本だけコケたと言われる“ALL ABOUT STEVE”ですが、実際はオープニング週末にしっかり1千万ドル以上稼ぎ、最終的にも3千万ドル以上の興収をあげています。もともと2008年公開予定だったのが、(おそらく)出来の悪さに延び延びになり、あわやDVDスルーかお蔵入りか、というところだったのが、なんとか劇場公開にこぎつけた作品でもあります。それでも、最初は3月公開予定だったのですが、配給元のFOXの嗅覚がよかったのか、まず、ブラッドリー・クーパーの「ハングオーバー」が思わぬ大ヒット、その後、サンディーの「あなたは私の婿になる」が、またまた予想外の大ヒットになり……で、9月公開が見事に当たり、この作品の規模(おそらく製作費は2千万ドル以下)と出来、散々な批評からすれば、興行的にはそんなに失敗ではなかったのではないでしょうか。

 “ALL ABOUT STEVE” (日本未公開)

 監督: フィル・トレイル

 製作: サンドラ・ブロック、メアリー・マクラグレン

 出演: サンドラ・ブロック、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ブラッドリー・クーパー、ケン・ジョン

 ストーリー: クロスワードパズルの制作者メアリーは、ある意味純真だが、傍目から見るとかなりエキセントリック。いつも赤いブーツをはき、しゃべりだすと止まらない。そんな彼女は、ブラインドデートの相手でTV局のカメラマンのスティーブにひと目惚れし、彼の迷惑も考えずに追いかけまわし始め、その結果、とんでもない事態に陥ってしまう。

 ラジー賞:最低主演女優賞、最低カップル賞受賞

 公式HP: http://www.allaboutstevemovie.com/

 予告編はこちら:


 サンディーの映画では、2007年の「シャッフル」も、ものすごく酷評され、彼女のキャリアも終わりか、みたいに言われたのですが、このAASはそれよりもさらにひどい酷評ぶりで、ファンの間では、せっかく「あなムコ」が大ヒットしたあとなのに、その後に公開される予定だった「しあわせの隠れ場所」への影響を心配したものでした。実際は、皆さん、あっさりAASのことを忘れてくれたようで、「しあわせの~」への影響はまったくなく、各賞への影響もありませんでしたね。でも、もしAASの公開が「しあわせの~」よりも後で、アワード・シーズンにひっかかっていたら、影響が出たかも、という記事もありました。

 さて、私は予告編を観たときから期待度を低くしていて、その後の全米公開がなかなか決まらないことや、公開前の酷評ぶりから、その期待度はますます下がりました。おそらくそのせいもあると思いますが、実際に観てみると、そう悪くないと感じました。

 いちばんの問題は、メアリーのキャラクター設定の弱さ。ファッションや言葉に対するこだわりなどから、かなりの変わり者であることは最初から分かるのですが、完成されたメアリーが突然現れただけで、そこに至るまでのプロセスがほとんど分からないため、人と同じでないことに対する彼女の葛藤や後半に説明される赤いブーツへのこだわりの伝わり方が弱いのです。コメディとはいえ、そこがもう少し丁寧に描かれていれば、もう少し評価も違ったかも。

 それから、言葉の洪水はすごいです。英語の字幕の助けを借りても、知らない単語だらけ。ナレーションも多いので、ちょっとうるさすぎましたかね。あとは、やはり低予算だけにチープな印象は否めない。

 

 でも、爆笑するようなセリフもシーンもないのですが、けっこうクスクス笑える部分もあり、メアリーの哀しさにもちょっとジーンとくるとこもあって、私は嫌いではありません。サンディーの映画としては、96年の「恋する泥棒」のテイストかも。でも、「恋する泥棒」よりは私は面白かったです。

 予告を観たときに、サンディーが老けて見えると思ったのですが、本編では疲れて見えるシーンはあるものの、どちらかというと、かわいく映っていると思いました。(入浴シーンはイマイチ……。あれはなくてよかった。)彼女の演技自体も決して悪くない。残念なのは、相手役との呼吸で生かされるサンディーのコメディセンスが、この共演者が相手ではあまり生きなかったことです。

 あまり重要ではないのですが、愛犬のポピー(3本足の仔)が一瞬登場します。可愛いんですが、私はこういうところがちょっとぬるいというか、甘いというか、そんな気がします。自分の家族やペットをさりげなく出演させるというのはよくあることでしょうが、それは誰も知らないからいいのであって、サンディーのハンディキャップをもつ愛犬2匹はかなり知られているので、それが画面に出ると、その瞬間に映画から現実に引き戻される感じがあります。 

 さて、DVDの特典映像は充実していて、キャスト4人、監督、脚本家が音声解説をしています。あとは未公開シーン、NG集、スタッフ紹介など、いろいろあります。ブラッドリーのファンにもかなりお得。

 ラジー賞のほかの作品を観ていないのですが、「最低」と言われるような演技ではありませんし、映画も作品としてそこまで悪くない。日本でもぜひDVD発売をしてほしいものです。

 最後に、僭越ながら採点: 50/100 

 ちなみに私の採点基準は、レディースデー(1,000)なら観ても損はなし、というのが60点、通常料金(1,800)で観ても損はなし、というのが75点です。でも、けっこういい加減です。

 最後に、昨年のプレミアの写真を数枚。

監督フィル・トレイル、製作で長年の友人メアリー・マクラグレンと。

 ブラッドリーと映画のシーンを再現。

 このドレスも酷評されましたね(苦笑)。

 


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アクア)
2010-04-14 16:00:45
さっそく観られたんですね。

こういう賞を獲っちゃうとそのイメージがついちゃうからいざ観る前はちょっとドキドキするのですが、いざ観てみると”そんなに酷評されるほど?”って思うことが多いですよね。

ただ今作については予告を見ても個人的にはほとんど惹かれなかったし、実際思っていたような結果になってしまったので、特別驚きはしなかったのがある意味残念でしたけど

でも楓さんのレビューを読んで、やっぱりどういう評価にしろ私も観たいです。
劇場公開なんてそんな高望みはしません(苦笑)
日本ではDVDスルーにさえなってくれればそれだけでほんとにありがたいんですが。

そして来年からラジー賞がTV放送されるとか
うーん、これってどうなんでしょ?
今までのカタチのほうが“らしくて”イイと思うんですが・・・。
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アクアさんへ ()
2010-04-14 17:17:56
ほんと、あんな酷評されるほどひどい映画ではないと思います。決していい出来の映画でもありませんが(苦笑)。

もうちょっとどうにかできただろうなあ、という、歯がゆさはありますね。
あと、トーマス・ヘイデン・チャーチがなんとなく手抜きの雰囲気……。
この人のほかの作品を知らないので、分かりませんけれども。

ラジー賞、今年は話題になりましたが、こんなことはめったにないですもんね。
今までのような手作り感が私もいいと思います。
欲を出してはいけませんよね。
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ウルトラ (104)
2010-04-21 21:35:23
見たい!

ってか日本でのDVD発売決定しましたね!
邦題は。。。

『ウルトラ I LOVE YOU!』
(・∀・)
もう苦笑いしかでませんが7月にはひとまず観れそうで良かった(笑)

断片的にシーンを観たことはありますがなんだか穴に落ちたあとのシーンは辛い感じがしました。

楓さんの感想を見た限りじゃ楽しみです。
ちなみに『恋する泥棒』は。。ひどかったですよね。うん。
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104さんへ ()
2010-04-21 23:23:13
邦題はチラチラ目にするのですが、ほかの情報が見つかりません。
どの会社から出るんでしょうか?
特典映像もちゃんと入っているのかな。
7月の何日?
ご存じでしたら教えてください。

すごい邦題ですよね、それにしても。
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DVD VISON (104)
2010-04-21 23:47:56
確か雑誌のDVDヴィジョンだったかに載ってました。7月のいつだったか。。どこから出るのか。。全く覚えてません(笑)特典映像のことは書いてませんでした。。
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104さんへ ()
2010-04-22 00:05:08
ありがとうございます!

それならば、と、手持ちのDVDデータをチェックしてみましたが、こちらの7月リリース予定にはまだ出てないですね。
気をつけてチェックしなければ。

アマゾンにもまだ発売予定に入っていませんでした。

日本版まで買うほどの映画ではないんですけれども、ファンとしては収益に貢献したい気も……。
迷うなあ。
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観たいです! (hyoutan2005)
2010-04-29 20:47:52
楓さんのレビューを観て興味が湧きました。
日本語版DVD出して欲しいですね。
買わないでレンタルしちゃうかも、ですが。
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hyoutan2005さんへ ()
2010-04-29 21:47:27
発売のあかつきにはぜひレンタルを!

人と違うことでつらい思いをした経験があったり、そういう人が身近にしたりすると、けっこう迫ってくるものがある気がします。

hyoutanさんのご感想を知りたいです。
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