この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

一番の驚きは鑑賞後にやってきた『ラ・ヨローナ ~泣く女~』。

2019-05-14 22:24:34 | 新作映画
 マイケル・チャベス監督、リンダ・カーデリーニ主演、『ラ・ヨローナ ~泣く女~』、5/11、Tジョイ久留米にて鑑賞。2019年22本目。


 まずは本作の重箱の隅をつつきたいと思います。

 「ラ・ヨローナ」というのは中南米に古くから伝わる怪談なのだそうです。
 夫に捨てられたヨローナという女性が嫉妬のあまり二人の我が子を溺死させるのですが、正気に返った彼女は自分の犯した罪の大きさに耐え切れず、自らも泣きながら入水自殺し、悪霊となった彼女は今も我が子を求め彷徨っている…。

 まぁこんなことを言うのもなんですが、夫に捨てられたぐらいで(「ぐらい」って言うのもなんですが)我が子をその手にかけますかね?
 今の日本には夫に浮気されて離婚し、子供たちとつつましく暮らしているシングルマザーがごまんといるじゃないですか。
 その彼女たちの強さに比べたら、ヨローナの弱さは情けないとしか言いようがないというか。

 百歩譲って夫に捨てられたことがそれぐらいの絶望であったとしても、子供を手にかけたのは他でもない彼女自身なんだから、それで悪霊になって人さまの子供を攫うって言うのはどういう了見なんでしょうか。
 まったくもって筋が通らないし、やってることが意味不明なんですよね。

 やってることが意味不明といえば本作の主人公であるアンナもどっこいどっこいなんですよ。
 ケースワーカーを受け持っていた子供たちが溺れ死んだ現場に、夜中だというのになぜか自分の子供たちを連れてくるんです。
 「なんで?」って思いましたよ。
 連れてこなくちゃいけない理由、何か説明されましたっけ?
 自分が大事なことを聞き逃したんですかね?
 ともかく、あんな夜中に子供たちを連れ出す主人公に「はぁ?」って思っちゃいました。

 もちろんそうすることで子供たちがラ・ヨローナと遭遇するのですから、展開上そうしなくちゃいけないことはわかりますが、だとしてももう少し上手く理由付けしてくれよと思わずにはいられませんでした。

 まあそんな感じで、脚本はお世辞にも上手いとは言えません。
 アンナたちが頼る呪術医のラファエルもよく無報酬で恐ろしい悪霊と戦うという仕事を引き受けたもんだな、思ってしまいます。
 悪霊が水を媒介にすると知っているんだったら、プールの栓ぐらい事前に抜いておけよ…。

 と言いたいことはいろいろあるのですが、最終的には家族で悪霊に立ち向かう姿にはやっぱりそれなりに感動してしまいました。

 ところで本作は悪霊があの手この手で人間を襲ってきて、「ひゃあ!!」と驚かされたことも一度や二度、いや、三度か四度か、もしくはもっとあったのですが、一番驚かされたのは鑑賞後、ツイッターで流れてきた情報でした。
 本作のヒロインを演じたリンダ・カーデリーニは今年になって鑑賞した『グリーンブック』、『ハンターキラー 潜航せよ』、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも出演しているとのこと。
 いやいやいや、ぜんっぜん気づきませんでしたよ。
 女って化けるもんですね。

 そんなわけで本作はホラー映画としては星三つぐらいの出来なのですが、リンダ・カーデリーニの七変化を楽しむという目的があればもう一つ星をプラスしてもいいかもしれません。


 お気に入り度★★★、お薦め度★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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