この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

凡庸な印象しか残らないファンタジー、乙一著『Arknoah 1 僕のつくった怪物』。

2013-10-20 22:44:22 | 読書
 乙一著『Arknoah 1 僕のつくった怪物』、読了。


 おそらくですが、今、このブログに目を通している誰よりも自分は乙一との付き合いが長いです(付き合いが長いと言ってももちろん一方的なものですが)。
 ジャンプJノベルズの『夏と花火と私の死体』の初版本を所有している人なんてそうはいないでしょうから(初版は相当少なかったはず)。


   
 シワなし、破れなし、汚れなし、帯つき、ついでに愛読者カードつきの初版本。たぶん、現存する中で最も状態の良い一冊。一万円なら売ってもいい。笑。

 デビュー以来、ほとんどの著作を購入しています。
 一番好きな作品は中田永一名義で書かれた『小梅がとおる』かな。何度読んでも、松代さんと土田さんが柚木に声をそろえて「当然でしょ」というシーンは泣けます。別に泣くシーンではないのだけれど。『ラクガキをめぐる冒険』も同じぐらい好きです。

 逆にパッとしないと思うのは、そうだなぁ、『冷たい森の白い家』か『神の言葉』あたりかなぁ。この二作が不出来であることは乙一自身認めてませんでしたっけ?

 さて、最新作『Arknoah 1 僕のつくった怪物』ですが、正直、かなりつまらなかったです。
 自分にとって乙一という作家の作品は、設定の奇抜さと展開の妙に感心させられるのですが、『Arknoah 1 僕のつくった怪物』に関して言えば、特に感心することはありませんでした。
 設定は誰かがすでに思いついていそうで(というか、いじめられっ子が本の世界に逃げ込むというのはエンデの『はてしない物語』に酷似し過ぎ)、展開は本当にとろくて、読むのがかなりきつかったです。
 
 本の世界であるアークノアの設定があまり魅力的でなく、その上独創性、説得力、ともに欠けているように思えました。
 すべてが創造主が作り上げた世界であるなら、異分子もすぐに排除できそうなものだけどなぁ。
 それにアークノアの住人の不死性も上手くシステムとして成り立っているようには思えない…。子どもの住人はいつまでも子どものままってこと?その子どもは何年生きても知識を得ることはないの?そこら辺の説明もされてなくて、読んでいて、モヤモヤしてしまった。

 まぁ本作は三部作ということなので、最終的な評価は第三作を読んでからにしたいと思います。
 正直、続きもあまり気にならないのだけれど…。
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする