この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

永遠のこどもたち。

2009-02-14 23:26:31 | 新作映画
 J.A.バヨナ監督、『永遠のこどもたち』、2/14、KBCシネマにて鑑賞。2009年9本目。

 ホラー映画の究極の目的は結局のところ観るものを恐怖に陥れることにあると思います。
 なので、ホラー映画においてストーリーの整合性なんてものは二の次、三の次であるし、ストーリーの整合性を重視するあまり恐怖が薄まってしまってはお話にならないとも思っています。

 映画『二十八週後・・・』のレビューで作品の矛盾点を挙げている人がいました。
 曰く、民間人が軍の施設の最深部に進入できるのはおかしいとか、etc。
 もっともだな、とは思いましたが、同時にそれをいっても仕方がないんじゃないのか、とも思いました。
 自分も映画レビューを書く際よく重箱の隅を突付きますが、一応自分なりのポリシーがあって、それをいっちゃあお仕舞いよ的なことはいわないようにしています(他には同じような矛盾であっても、ミステリー映画なら突付くが、ホラー映画なら突付かないとか)。
 そういうふうに展開しないとお話が進まないのであればそう展開するしかないじゃないですか。
 なので、『二十八週後・・・』のあの展開はおかしいけれど、自分の中ではまったく問題なく受け入れることが出来ます。
 怖がらせることに終始した『二十八週後・・・』はホラー映画の王道だと思うのです。

 しかしその一方で、ストーリーに整合性のあるホラー映画を観たいという願望もあります。
 見ている間だけ怖ければいいという製作スタンスが悪いというわけではないのだけれど、そういったホラー映画って見終わった後に何も残らないんですよね。
 あぁ、怖かった、それで終わり。
 いわば恐怖が薄っぺらい。
 後々にまで恐怖が残るためには、やはりホラー映画であってもストーリーに整合性が必要だというのが持論です。

 そういったストーリーに整合性のあるホラー映画としては例えば『シックス・センス』や『エンゼル・ハート』、『スケルトン・キー』などが挙げられます。
 これらの映画は何よりまず脚本が素晴らしいんですよね。ストーリーはよく練られているし、展開にも無駄がない。
 
 そして、今、それらに『永遠のこどもたち』を加えていいと思います。
 この映画は間違いなくホラー映画なのだけれど、ばーさんが主人公の手を握るシーンではうわっと声を上げてしまいました、単なるホラー映画にはない余韻があるんですよね。
 あぁ、怖かった、の一言では終わらない“何か”があります。
 何を言ってもネタばらしになりそうなのであえてストーリーには触れませんが、単なる恐怖以上のものをホラー映画に求めている人にはお勧めできる一本です。

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (4)
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