この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

エンプティー・チェア。

2008-05-22 22:44:57 | 読書
 ジェフリー・アーチャー著、『エンプティー・チェア』、読了。

 自分はこのシリーズを第一作→第八作→第七作→第二作というふうに読んできました。我ながらどういう順番で読んでいるのやら、と思わないではないですが。
 当然リンカーンやアメリアといった登場人物たちの最新の状況を知っているわけです。第八作が終了した時点での二人の関係、そして彼らを取り巻く環境などについてももちろん同じ。
 なので、過去作において、アメリアがどれほどの危機に陥ったとしても最終的にはそれを脱するであろうことも予測がつくのです(まぁエンターティメント小説では主人公が最終的に危機を脱するのは常ですが)。
 それなのに。
 アメリアを襲った苦難、今度ばかりは、さすがのリンカーンでもどうしようもないのでは、と思ってしまいましたよ。
 何しろ本作でアメリアは、犯罪者ギャレットの逃亡を手助けした上、さらに同僚警官を射殺してしまうのですから。彼女のキャリアは、そして人生は、終わった、読んでいる最中、自分はそう思いました。
 しかしリンカーンは、というか作者であるディーヴァーはそんな絶体絶命の窮地から彼女を救い出すのです。それも想像もしないやり方で。読んでいて、喝采を送りたくなりました。
 正直、疑問点や矛盾点も少なからずあります。
 まずギャレットがなぜメアリーだけでなく、リディアまで拉致したのか。メアリーを拉致した理由はわかるけれど、リディアを拉致した理由がよくわからない。どこかに書いてありましたっけ?
 あと、アメリアがギャレットの逃亡を手助けした理由、一応書かれてはあるけれど、これだけでは如何にも弱いような気がします。
 しかし、上に述べたような欠点もラスト100ページを読んでいるうちに吹き飛んでしまいました。
 読後の満足感はこれまで読んだシリーズの中でも一番かもしれません。
 シリーズ第四作『石の猿』を読むのが今から楽しみです。
コメント (6)
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