この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

月館の殺人(上)、その2。

2005-08-19 23:55:12 | 漫画・アニメ
前回の『月館の殺人』についての記事が思っていたよりも反響があったので、今回はもう少し掘り下げてこの漫画について語ってみたいと思います。
当然ネタバレありです。ご注意ください。

まず最後のページ、幻夜号を上から俯瞰した図から。
屋根に降り積もった雪、やけに短い線路、そして列車と舘を繋ぐ廊下などから、幻夜号が実際には走行していなかったということがわかります。
つまり幻夜号は線路の上を走る列車ではなく、列車型の宿泊施設だということです。
もちろん乗客(正確には宿泊客)と乗員(施設のスタッフ)はそのことを予め知っていました。
というか、その列車が本当に走行しているのか、それとも走行状態を模しているのか、普通の人間ならわかるはずです。
もしわからない人間がいるとすれば、それは一度も列車に乗ったことのない人間でしょうね、例えば主人公である雁ヶ谷空海のような。
なぜ雁ヶ谷空海は列車に乗ったことがないのでしょう?
この答えは『月館の殺人』を読んだ方なら簡単ですね、彼女の母親みずほが彼女が列車に乗ることを極端に嫌ったから、です。
ではなぜみずほは空海に列車に乗らせなかったのでしょう?
単に列車や鉄道が嫌いだというだけなら、自分が乗らなければいいだけの話で、それを娘にまで強制するのは非常識というものです。
彼女には娘に列車に乗らせたくない理由があったと考える方が自然です。
そしてその理由とは今の段階では一つしか思い当たりません。
すなわち、それこそが財産相続です。

さて冒頭のシーンで、「お父さん!」と叫んでいるのは誰なのでしょうか?
いうまでもなく、このシーンが『月館の殺人』(及び作中の首都圏連続殺人事件)の鍵となっているのですが、この人物は列車に一度も乗ったことがない空海ではありえません。
となるとそれに当てはまる登場人物はというと・・・、このことはちょっと脇に置いておきます。

話は飛びますが、日置健太郎は本当に死んでいるのでしょうか?
日置健太郎の死を検証したのは車掌である川俣と獣医である今福の二人です。
川俣はさておき、今福の検死は実にいい加減です。
胸に耳を当てたのに頬などにまったく血が付いていません。
「間違いなく死んでるよ」という言葉と裏腹に、彼が断定するからこそ日置は生きているのではないか、と思えてなりません。
もし彼が生きているとすれば、その理由も一つしか考えられません。
すなわち、今後の行動の自由を確保するため、といったところではないでしょうか。

といったことをつらつらと愚考したわけなのですが、今夜はもう時間が無くなってきてしまいました。
続きは下巻が発売される来年にでも。(何だよ、そのオチは!)
コメント (2)
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