千日詩集

1日1編1000日詩(のようなもの)を書く

第79日

2020-09-17 | 

  風籟

土の中に眠る
私の死体から
一本の木が生え
小さな実を結ぶ

実はやがて干涸らびて
風に吹かれてしゃらしゃらと音を立てる
一人の旅の僧がそれを見上げて
意味ありげに微笑む

月が昇り風が止むと
片目のリスがやって来て
乾いた実を囓る

揺れる梢から一粒の滴が落ち
土に吸い込まれていく
だが乾いた私の骨までは届かない