旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

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(17)『チハルくん、頑張ってね!』by棗田。なのじゃ。

2008年10月31日 22時56分22秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争
目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から

『エグシッ!』
ワシは急に悪寒がして、くしゃみと限り無く唾液に近い鼻水が出た。

粘着性の薄い鼻水は霧吹状に飛散した。
しかも、ワシは思いきり福田先輩の方に向けて発射してしまったのだ。

事前に被害を察した福田先輩は楽譜と楽器を守るが、自分の身体は無防備のまま。
先輩の顔を霧状の鼻水シャワーが襲った。
福田先輩は目をつぶって霧が過ぎるの待ったあと、
片目を開けて『ジロリ』とワシを睨んだ。

えらいこっちゃ!焦るワシ。

「こんな時期に風邪なんかひくなよ。あと少しで大阪大会だぞ」

ムスッとはしていたが、別に怒られたわけではないようだ。

福田先輩は気の抜いた練習をしたり、演奏で凡ミスをくり返した時は、
ひどく怒るが、それ以外はかなり寛大だった。

「ずびばぜん゛(すみません)。急に寒気が…」
ワシは『ずびー』と鼻水をすすりながら謝った。

「身体には気をつけないと駄目よ。大事な時なんだから」

ワシのくしゃみが聞こえたのか、
いつの間にか棗田先輩が側に来ていた。

「バカは風邪ひかないから、大丈夫ですよ」

笑いながら藤本も近付いて来た。

お前は、来なくてもいいのに!
しかし棗田あるところに藤本あり。最近ではセットと化している。

「めずらしく、八守君が江本君を教えてるわ。
要所をピンポイントで練習してるの。さすがに教えるのが上手いわ八守君。
江本君も飲み込みが早いし…」

「はい。江本はさらに上手くなります。
ずっと一人で個人練習をしているのと、
先生が付きっきりで指導するのでは、かなり違ってきますから」

「えっ。そうなんですか?それじゃあ、ワシは…」
八守先輩が急にやる気になったくらいで、
直ぐに江本が上達するなんて思ってもみなかった。

ワシは大阪に行けないのかと、不安になってしまう。
福田先輩なら、なんとかしてくれると思っていたのだ。

現に覚えの悪いワシが、今のように弾けるようになったのは、
間違い無く先輩のお陰だったから。

「まったく、八守君。どうして急にやる気になったのかしら!」
ほんとは棗田先輩は理由を知っている。
八守先輩が、後輩である福田先輩に対抗意識を燃やしてしまったのを…。

「ほんと、どうしてでしょうねぇ?」藤本が言った。
こいつは、ホントに知らない。

棗田先輩がワシの目をジッと見て言った。

「チハルくん、頑張ってね。
江本君にも頑張ってほしいけど、チハルくんは私が最初に教えた生徒だもの!」

「せ、せ、先輩。俺も最初の生徒です」
藤本はこういう時、必ず口を出さずにはいられない。

「わかってるわよ!」
棗田先輩のめずらしく強い口調に藤本は(いろんな意味で)イチコロだ。

「ああ。どうしてギターの1年生は、あと1人しか連れて行けないのかしら」

そして、もう一度ワシに頑張るように言ってから藤本と一緒に帰った。

「なんで『八守のやつ』急に…」とぶつぶつ言いながら。

ワシは励まされたのには、すごく嬉しかったが、
棗田先輩の様子がいつもと少し違うようなのが、気になった。

「棗田先輩。ちょっと変じゃありませんでしたか?
なんだか、八守先輩に対して感情的になってるというか…」

無駄だと思ったが、福田先輩に聞いてみた。
この先輩が答えられるとは思わなかったので、
ワシにしてみれば独り言のような問いだったのだ。

でも、信じられない事に答えが返って来た。

しかも、信じられない答えが。

「八守先輩と棗田先輩。昔、付合ってたからな」

「はっ?」ワシは…

…目が点。

やっと、できました。嬉しい(出来はともかく)。
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