旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

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(32)『もちろん半歩後ずさり』byワシ。なのじゃ。

2008年12月26日 00時04分35秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争
目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から

向い合せに椅子が2つ。

音を出す福田先輩と、チューニングする八守先輩が座る。
江本が八守先輩の斜後ろに立った。これからチューニングするギターを渡す役目だ。
その反対側にワシが立つ。チューニングが終わったギターを受取るのだ。

福田先輩の後ろには棗田先輩。
ワシらの立ち位置を見て、八守先輩が苦笑したように見えた。

八守先輩が、チューニングを済ませた自分のギターを福田先輩に渡した。
すかさず、江本がこれからチューニングするギターを渡す。

八守先輩が「頼む」と一言。

福田先輩が応えるように頷く。
そして、「はい」と言う代わりに間髪を容れず1弦E線(ミ)を鳴らした。

『ポーン』小さからず大きからず、芯が通ったきれいな音だった。

八守先輩も1弦の音を鳴らしながら、最初は弦を弛める。
最初はワシの耳でも、はっきりと違いが分るくらい音を下げた。

そこから、徐々に弦を張っていくのだ。

福田先輩がもう一度『ポーン』

八守先輩が返す『ポーン』と返しつつ、ぐぐっと糸巻きを回す。
いきなり2つの音がシンクロした。
ワシの耳ではもう2つのギターのE線の音の聞き分けがつかない。

福田先輩がまた1弦を鳴らす。糸巻きを少しづつ回しながら八守先輩も返す。
2人にはまだ合っていない。ということなのだろう。ワシには全くわからない。

福田先輩がさらに一度、鳴らした。
八守先輩が音を返した。

福田先輩は音が合ったと判断したのだろう、1弦に置いた右手の指を2弦に移した時。

「まだだ」

八守先輩の声は、いつだって涼しげだ。

福田先輩が、はっと顔を上げ。江本は緊張して、次に渡すギターを抱えたまま固まり。
棗田先輩の整った眉毛は少し上がったかもしれない。

もちろんワシは、半歩後ずさりした。

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