旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

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(1)藤本はユーコのボディに鞭。なのじゃ。

2008年07月01日 08時42分27秒 | 2章-D線の切れる音
目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
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『バシッ』という音がした。藤本がまた、弦を切った。

左手の弦を押さえる指盤付近で、よく切れる。
ここは、指先の汗がついて弦が錆びやすいのだ。

弦は切れただけでは、音はしない。

切れた瞬間、弦が鞭(むち)のようにボディのどこかを叩くのだ。
D線が一番切れやすい。藤本は特によく切った。
藤本の楽器には、よく見ると何カ所かにうっすらスジがある。

弦には1弦から6弦まで名前がある。
1弦=E線(ミ)
2弦=B線(シ)
3弦=G線(ソ)
4弦=D線(レ)
5弦=A線(ラ)
6弦=E線(ミ)

そのままで、解放弦の音になる。上(6弦)から順に『ミラレソシミ』と教わった。
1弦から3弦まではクラシックギターではナイロン弦になる。
ここがフォークギターとは違う点だ。フォークではスチール弦だ。

ナイロン弦は昔はガット弦というのを使っていた。
ガット弦とは小羊の腸で、できた弦の事だ。この頃はもっと切れやすかったという。
クラシックギターのことをガットギターという呼び方もする。

分かりにくいのが、4から6弦まで。フォークもクラシックギターも巻(まき)弦だ。
両方とも金属の細い糸をぐるぐる巻いて似ているが、中身が違う。
フォークはスチール。クラシックギターは中もナイロンなのだ。
だから、クラシックの方がやわらかい音がする。

藤本はクラシックは弦が柔らかいから、楽だと言う。
でも、ネックがフォークより太いので、慣れるのに苦労したらしい。
どうやら、最初にコードを押さえるのを苦労したのは、
その辺が原因だったのかもしれない。

藤本は右手の親指の使い方が上手い。
先輩達でも、i(人さし指)とm(中指)の2本の指で弾く所を、
藤本は親指1本で弾く。

早すぎて、ワシには到底無理だ。
親指がグネグネ動いて弦を弾(はじ)き。バキバキ音を出す。
ワシにはまるで、蛇が襲っているように見えた。
蛇に襲われた弦を通して、ビンビン空気が震える。

そんなのを見る度に、福田先輩の言葉を思いだす。

「天才系なんだろうな。」

でも、ワシはくやしいので藤本が弦を切る度に、こう言う。

「練習が終わったら『3号のボディ』だけじゃなくて、
 弦も拭いてやらないと。だから弦がすぐ錆びるんじゃ。」

ボディを「ボゥーディーィ」と下唇を突き出して、言ってやるのじゃ。

藤本は顔を赤くして、辺りを見渡す。

「声、でかい!」

もちろん『3号』とは、藤本の愛器『ユーコ3号』のことだ。
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そう言えば、私は自分のギターの事を『ギタ子』と呼んでました。」

思ってもみない程、長い話になってきたので、章を分けることにしました。
テンプレートも変えて、みました。前のは気に入ってたので、また戻しますけど。
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