医療に関する提言・レポートfrom MRIC by 医療ガバナンス学会(2011年8月25日) 「新型インフルエンザ対策行動計画 パブリックコメント」 村重直子 東京大学医科学研究所 より
投稿者は「さらば厚労省」(講談社)の著者で、一時期厚労省の役人だったことがある。今厚労省より「新型インフルエンザ行動計画」(改訂版)に対する意見募集が8月29日まで行われており、それに投稿者が意見を寄せたその抜粋であると云う。日本医師会は医師らが感染した場合の保障制度の創設を要求しているが、それにたいして厚労省は一般医療行為とは区別して「診療従事命令」を出そうとしている。その狙いと問題点を指摘したい。
①まず厚労省の情報開示が片手落ちであること。行動計画だけを開示し法令の条文も同時に開示しなければ、国民に対する情報の非対称性があまりに大きく、国民は正しい判断が下せない。
②「診療従事命令」とは空港や保健所、検疫所に通常医療行為から医師を強制して引き剥がすことになり、人手不足の状況を加速する。もともと水際では止められない新型インフルエンザの検疫に税関職員以外の医師を従事させることは賢明ではない。徴兵に似た制度であり医療従事者の人権にかかわる。
③「地域封じ込め」では交通遮断を考えているようだが、そんな局地的孤立状況で患者が発生するわけではない。日本列島のどこかが伝染病の源発生源になるとは考えられない。社会のインフラや流通を考えれば、今時ありえない想定である。いかにも時代遅れの強権的官僚行為で人権侵害の恐れが懸念される。
投稿者は「さらば厚労省」(講談社)の著者で、一時期厚労省の役人だったことがある。今厚労省より「新型インフルエンザ行動計画」(改訂版)に対する意見募集が8月29日まで行われており、それに投稿者が意見を寄せたその抜粋であると云う。日本医師会は医師らが感染した場合の保障制度の創設を要求しているが、それにたいして厚労省は一般医療行為とは区別して「診療従事命令」を出そうとしている。その狙いと問題点を指摘したい。
①まず厚労省の情報開示が片手落ちであること。行動計画だけを開示し法令の条文も同時に開示しなければ、国民に対する情報の非対称性があまりに大きく、国民は正しい判断が下せない。
②「診療従事命令」とは空港や保健所、検疫所に通常医療行為から医師を強制して引き剥がすことになり、人手不足の状況を加速する。もともと水際では止められない新型インフルエンザの検疫に税関職員以外の医師を従事させることは賢明ではない。徴兵に似た制度であり医療従事者の人権にかかわる。
③「地域封じ込め」では交通遮断を考えているようだが、そんな局地的孤立状況で患者が発生するわけではない。日本列島のどこかが伝染病の源発生源になるとは考えられない。社会のインフラや流通を考えれば、今時ありえない想定である。いかにも時代遅れの強権的官僚行為で人権侵害の恐れが懸念される。