ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 国貞克則著 「財務三表一体理解法」  朝日新書

2008年06月05日 | 書評
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書のつながり 第8回 最終回

財務分析指標 (2)

 キャッシュフロー計算書CSはなかなかの優れものらしい。ごまかしが難しいうえに、会社の状況や戦略的な立場がある程度分る効用がある。(営業CF,投資CF,財務CF)を各々(+-)でみると次のような会社の特徴の八つのパターンが見えてくる。ここで営業CFが+と言うことは本来業務で利益が出ていることで企業にとって一番重要なことである。投資CFが-ということは設備投資や有価証券を買っているこになり、+は固資産や有価証券を売却していることになる。財務CFが+と言うことはお金を借り入れていることで、-は借入金を返済していることである。

(+、+、+):利益を出してなお借り入れを行い現金を増やしている。固定資産や有価証券を売却している。将来さらに大きな投資のため金を集めているようだ。
(+、+、-):利益を出して、固定資産や有価証券を売却して現金を生み出し、借入金を返済している。財務体質の強化の段階にある会社だ。
(+、-、+):営業活動で利益を出した上に借入金で現金を増やし、投資を盛んに行っている。将来戦略も明確な優良企業のパターン。
(+、-、-):営業で上げた利益を投資に当て、借入金を返済している。潤沢な剰余利益のある企業である。
(-、+、+):営業赤字を借り入れや固定資産や有価証券の売却でまかなっている。問題企業の一般的なパターンである。
(-、+、-):営業赤字を借入金返済と固定資産や有価証券の売却で切り抜けようとしている。過去の大きな蓄積を切り売りして事業を継続するパターン。
(-、-、+):営業赤字だがさらに借り入れと株発行によって、設備投資をおこなっている。よほど魅力的な将来計画があるのだろうか。
(-、-、-):営業赤字だが設備投資を行い、借入金を返済している。信じられないほどの過去の自己資本蓄積がある会社のやれること。


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