ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩  「今昔物語 」 福永武彦訳 ちくま文庫

2008年02月29日 | 書評
平安末期の説話文学の宝庫 さあー都大路へタイムスリップ  第17回

七十一話 「盗人をたぶらかして逃げる話」
 内裏から夜更けてから帰る史がいたが、たいそう頭の切れる人で、車に乗るとまず衣服を脱いで畳みの下に隠し裸で車を歩ませた。車が美福門あたりに来た時、予期した通り盗人が現れ簾を開けると裸の史がいた。問うと「あちらの都大路であなた方のような人に私の装束を持っていかれた」と答えたら盗人は笑って引き上げたと云う話。盗人より一枚上手の役者でした。

七十二話 「御読経の僧が平茸にあたる話」
 御堂関白の枇杷殿に住んでいた僧が宗像神社の境内で見つけた平茸を童といっしょに食べて中毒死した。関白殿はご同情になり葬式を出してやった。それを聞いた東大寺の僧は同じように平茸を食って平然としている。先ほどの僧が茸を食って死んだばかりなので、皆が不思議がって何故そんな危険なことをすると問うと、僧は「自分は死んでも道端に捨てられるだけですので、殿の同情にすがって葬式を出していただきたくて平茸を食いましたが死ねませんでした」と云う話。もともとこの僧は毒キノコを食っても当らない体だったと云う噂で持ちきり。

七十三話 「鼻を持ち上げて朝粥を食う話」
 池の尾の禅智内供と云う僧の寺は大変栄えた寺であったが、禅智内供の鼻は顎に下まで垂れている大きな鼻であった。三日に一度は大きな鼻を蒸して、足で踏みつけ鼻の中の虫を追い出すと小さくなルということを繰り返していた。朝粥を食べるときは、慣れた弟子が食事係りについて板で鼻を持ち上げる役をおおせつかっていたが、ある日病気になって出られなくなったので、給仕の童に代理をさせた。童は禅智内供の食事の途中、急にくしゃみが出て板をはずしてしまった。鼻が粥椀の中へ落ち、えらいおしかりを受けた。禅智内供がいうに「他の偉い人の鼻を持ち上げて失敗したらもっと大変なことになる。馬鹿者め」、それに対して小僧は「この世の中にこんなひどい鼻の持ち主がほかにいるものか」といって、皆が大笑いをしたと云う話。芥川龍之介の小説に出てくる有名な小話。

七十四話 「米断ちの聖人が見破られる話」
20歳ごろから米を食べない坊さんが「米断ちの聖人」といわれ、天皇の帰依を受け神泉院に住んでいた。これを聞いた殿上人が好奇心から聖人の家に出かけて、米を食わない人の糞はどんなものかと興味を持ち厠を調べた。便に米がたくさん混じっているのでおかしいと思って部屋の畳の下を調べると、米の壺が隠してあったという話。人の尊敬を受けるために米断ちと称して、隠れて米を食っていた。それがばれて大いに恥をかいて逃げ出した。

七十五話 「尼と木こりが山中で舞を舞う話」
京の木こりが北山に入った時、山奥から尼さんたちが舞を舞いながら姿をあらわした。茸を食べたら勝手に体が舞いだしたのだと云う。木こりたちも茸を食うとやはり体が勝手に動いて舞を舞うではないか。この茸を舞茸と云う話。
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