ブログ 「ごまめの歯軋り」

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小林秀雄全集第13巻「歴史と文学」より「歴史と文学」

2006年12月29日 | 書評
歴史と文学

小林秀雄が日本の歴史上の人物や古典について傾斜してゆく記念すべき論文である。第2次世界大戦中いよいよ日本の文学界は良い材料たる対象を失い真理と性格とかいう幻に閉塞沈没した。その間小林秀雄は現代小説に興味を失い、歴史と文学の接点から古典に活路を見出そうとする姿勢があらわに見られる。
「歴史を唯物史観や合理主義史観から見てはいけない。人間がいなければ歴史はないことは疑う余地のない真理です。」という公理から、乃木将軍、「平家物語」、「大日本史」、「神皇正統記」などを取り上げて紹介している。まだ評論するほどの内容ではないし、時代に迎合した匂いもする。成果はこれからである。



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