ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 三村芳和著 「酸素のはなしー生物を育んだ気体」  中公新書

2008年11月30日 | 書評
27億年前、光合成によって酸素ガスが出来ると、生物は一気に進化した 第9回

2.酸素ガスはどうして生じたのか (2)
 
 27億年前に光合成細菌の一種でシアノバクテリアが誕生し、水分子から酸素原子を遊離させ酸素ガスを作り始めた。この細菌が地球上で酸素ガスを作った功労者である。最初の光合成最近は30億年以上前の「紅色細菌」である。太陽エネルギーを使って硫化水素を還元して水素を作り、二酸化炭素ガスと結合して有機物を合成した。植物の先祖みたいな細菌である。植物の光合成反応を見ると、暗反応で外気の炭酸ガスを還元して糖を作る。明反応では葉緑体のチコライド中で光エネルギーで水を分解してプロトンと酸素ガスを作る。この時発生した電子がチコライド膜上の電子伝達系蛋白でやり取りされる。電子供与体は水の中の酸素原子である。呼吸とは逆の反応である。炭酸ガスと酸素ガスが今日の濃度に近づいたのは3億年前の事である。水は分解されて酸素ガスを作り、炭酸ガスから有機物が作られた。全地球の炭素は陸地と海底にあり、光合成植物性プランクトンが大気と深海の炭酸ガス濃度勾配を作り出す炭素ポンプである。地球上でこの炭素と酸素の循環が成立しているは、きわめて稀有の現象かもしれないが、生物はその通過点で営々と生の営みをしているのである。


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