ブログ 「ごまめの歯軋り」

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医療問題 「現場からの医療改革レポート」 Japan Mail Media

2009年03月14日 | 書評
絶望の中の希望ー医師は「医療崩壊」の現状をネットに訴える 第39回

特別配信号(2008年10月3日) 「医療事故調 対立の概要と展望」 虎ノ門病院泌尿器科 小松秀樹 

 人は間違うものだと云うことを前提に医療の安全対策と責任追及は切り離すべきと云う趣旨が国際的に主流になっているにもかかわらず、厚生労働省は医療事故調を医師の責任追及の場にしようとする。この「対立の概要と展望」をまとめた。現在医療事故調の厚生労働省案(第2次、第3次試案)を巡って議論が続いている。現実と乖離した「正義」の規範ほど厄介なものはない。「正義」は怒りと攻撃性に満ちている。社会に有害な結果しかもたらさない「正義」の規範から頭の切り替え(パラダイムシフト)が必要だ。

 医療事故調の目的が医療の安全向上なのか過去の責任追及なのかが曖昧なまま、2007年4月より「医療関連死究明の検討会」が前田座長(刑法学者)で開催された。そこで事務局(厚生労働省)の議論は「法的責任追及に活用」で展開され、07年10月第2次試案が出された。「反省、謝罪、責任追及、再発防止」のために原因究明が行われるという。「医師は人命救助のためがんばって結果犯罪者になるのでは医療は崩壊する」という反対意見が多く、修正案の第3次試案となった。医療安全の確保を目的とすると明記しているが、同時に責任追及も行うと云う矛盾した事が書かれている。第3次試案の大きな問題は院内事故調査報告書が個人の処罰に使われるということだ。航空機事故などのように免罪の上事故調査をすることであらゆるヒューマンエラーをあぶりだすと云う趣旨から程遠い。処罰を前提とした調査では真実は隠れるのである。事故調が全てお見通しの神でなければ裁けるものではない。利害関係者は罰を恐れて利害に応じた発言しかしない。舛添厚生労働大臣は第3次案に対して不十分ならさらに検討するといっているが、医政局と不協和音が聞こえる。病院と関係ない開業医の日本医師会は医療報酬改定と絡んで当局と妥協をし第3次案に賛成した。学会、病院の団体は反対である。
(続く)



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