ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 濱口桂一郎著 「新しい労働社会ー雇用システムの再構築へ」  岩波新書

2010年03月09日 | 書評
多様化した労働社会に対応する新しい日本の雇用システムとは 第2回

 絶対公正な公益代表の意見などありはしないのだから、本書のスタンスを明確にしておかないといけない。そのためには著者のプロフィールを見ておこう。濱口氏は東京大学法学部卒業後、1983年労働省に入省した。2005年政策研究大学大学院教授を経て、2008年厚生労働省のシンクタンク独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILT)の労使関係・労使コミュニケーション部門統括研究員となった。20年以上にわたる労働省在任中は労政局、労働基準局などを歴任され、1995年欧州連合日本政府代表部に在席されたという。現職の労働政策研究・研修機構は、2003年10月に日本労働研究機構と労働研修所(厚生労働省)が統合して設立された、厚生労働省所管の独立行政法人で、内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究等並びにその成果の普及を行うとともに、その成果を活用して厚生労働省の労働に関する事務を担当する職員その他の関係者に対する研修を行うことを目的にして設立されたという、厚生労働省直轄の研究機関である。濱口氏は学者というよりは一貫して厚生労働省キャリアー官僚である。濱口氏は欧州EU労働事情の専門家で自身のブログ「EU労働法政策雑記帳」に得意な分野の薀蓄を傾けているし、ホームページ「hamachanの労働法政策研究室」に氏の論文が掲載されているので、関係者が考察される時には利用価値はありそうだ。本書はEUの労働事情と日本の労働事情の比較の上で論議をするので、分かりやすいというよりも、歴史が違うので「だからどうだ」と言いたくなるように分りにくい内容になった。もっと立場を明確にして、すっきりした論点を示したほうがわかりやすいのではないか。
(つづく)

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