ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 濱口桂一郎著 「新しい労働社会ー雇用システムの再構築へ」  岩波新書

2010年03月11日 | 書評
多様化した労働社会に対応する新しい日本の雇用システムとは 第4回

 ここで日本型雇用システムの点検を行う。日本型雇用システムとはよく言われるように、長期雇用制度(雇用)、年功賃金制度(報酬)、企業別組合(労使関係)の3種の神器からなる。しかし日本型雇用システムの本質はその雇用契約にある。雇用契約とは世界的には職種(ジョブ)を明確に決めて使用者と労働者が契約するものであると云うのが常識になっている。ところが日本型雇用システムの特徴は「職務」という概念が稀薄なことである。如何なる職務にも従事するという意味では、日本の雇用契約は一種の「地位設定契約」あるいは「メンバーシップ」ともいうべき契約である。日本型雇用システムの特徴とされる長期雇用制度(雇用)、年功賃金制度(報酬)、企業別組合(労使関係)は、すべてこの「職務をさだめない雇用契約」という本質から論理t的帰結として導き出される。欧米では発生したジョブに対応する必要な労働力という形で雇用されるため、必要がなくなれば雇用契約は解除されるのが常識である。日本型雇用システムではある職務で雇用な減少すれば、別の職務への移動、グループ企業への転籍、出向など雇用を維持する方向で解決される。また欧米では賃金はジョブによって決定され、同一労働同一賃金原則が産業間で決定される。日本型雇用システムでは賃金は職務とは切りはして決められ、勤続年数、経験など年功賃金制度+忠誠度を測る人事査定に基づいている。また労働条件については欧米では職務に基づいて産業別レベルで決められるが、日本では企業内でしか通用しないので企業別組合が使用者と交渉するのが原則である。
(つづく)
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