ブログ 「ごまめの歯軋り」

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代理出産と生命倫理・法的問題

2006年09月30日 | 時事問題
asahi.com 2006年09月30日11時28分
向井さん代理出産、高裁が出生届受理命じる
 
「タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が米国の女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児(2)の出生届を、東京都品川区が不受理としたことを巡る家事審判の即時抗告審で、東京高裁は不受理処分の取り消しを命じる決定をした。決定は29日付。南敏文裁判長は決定理由で、「(向井さん夫妻が)法律的な親として養育することが、子供の福祉に最もかなっている」と述べた。」

生殖工学と生命倫理および法的問題

森岡正博氏は著書「生命観を問い直す」において『生命倫理と環境倫理は今までバラバラに論じられてきたが、「生きてゆく欲望」という内部願望がもたらす環境破壊と自然生物略奪と、生命工学の進歩(とくに生殖工学)がもたらす危険性は本質を一つにしていることに気が付くべきです。これらの様々な問題を文明の問題として捉えることが新しい生命の知をもたらすと期待したい。』 と述べています。ここでは生命倫理は主に胚操作技術とクローン技術の危険性をいい、代理出産は特別に生命倫理の問題は無く、夫婦の精子と卵子であれば、どちらかが死亡していなければ法的にも問題ではない。別の判決では卵子を他人から貰った場合代理出産の結果できた子の出産届けは受け取らなくていいという判決であった。今回の向井さん夫婦の場合は両方の精子卵子であり、親は健在なので法的には全く問題ない。脳死審議会でも、警察は人の死を心臓停止と呼吸停止、瞳孔拡散の3条件で抵抗したが審議会は意識が無くなった脳死で人の死を認めた。これと同じように区役所は生んだ人が母親だということ抵抗してきたようだが、精子卵子が夫婦のものであることは遺伝子診断で証明できるので、生んだ人から何も受け継いでいない子を親子関係とすることのほうが不自然である。妥当な判決であるといえる。向井さんも晴れて親子になれておめでとう。


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