ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート ぺートル・ベックマン著 田尾陽一訳「πの歴史」 ちくま学芸文庫

2011年03月16日 | 書評
円周率πの計算精度を上げる歴史から数学の幅広い展開へ 第2回

 本当かどうかは保証の限りではないが、著者は推測だがと断った上で、円周率を求める一番原始的な方法を示している。まず中心をきめて一定の長さの縄の端を中心に固定して、砂の上で縄の他方の端に棒をつけてぐるりと1周する。すると棒の先は円周の溝を描くだろう。つぎにこの縄の2倍の長さの縄を作る。これが直径である。この直径に相当する縄を円周の溝に入れ、端と端の位置の砂に印をつけ、又縄を持ち上げて何回か繰り返すと3回目の縄の端は出発点の少し前で終わりとなる。この少しのあまりを無視すれば円周率は3といえる。一桁の精度の円周率である。円周上に残った余りの溝に合わせて短い縄を作り、それを直径の上においてゆくと7回やって少し余るが、8回やるとはみ出してしまう。そこで円周率は3・(1/7)<π<3・(1/8)となる。すると円周率は3.142857<π<3.125となり、精度は2桁となった。古代バビロニア人(メソポタミア文明のシュメール人 紀元前3000年程度の頃)はπ=3・(1/8)、古代エジプト人の書記アーメス(紀元前2000年)が記す書によると、伝承として「9単位の直径の円の面積は、一辺8単位の正方形に等しいという作図からπ=3.16049を得たという。古代バビロニアよりほんの少し悪いが、有効精度は2桁である。
(つづく)


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