ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩 柳田国男 「日本の祭」 角川ソフィア文庫

2018年04月16日 | 書評
太平洋戦争の只中、日本の神の発見によって柳田民俗学を創始した記念すべき著作 第2回

序 その2

次に祭の五要素についてまとめておこう。
① 神地(祭場): 本来神は祭の時降臨するのだから普段は地上のどこに居られないはずである。しかし神社が建てられご神体を神殿に納めるとするなら、神が常住することになる。そこで神殿以外の場所を祭場とするとき、そこを御旅所として神が神幸されると解する。山の神祭りに神依木を選定するとか、祭りには必ず木を立てること、これが日本の神道の特徴であるとされる。神木と称してシメを張った大樹が祭場の標示にほかならない。
② 神屋(祭儀を司る家): 祭を営む人の家のことである。神職が行うか、氏子の中から祭儀を営む人を頭屋・頭人という。頭人は抽選とか、順の持ち回り制にする。また頭屋には誰でもなれるわけではなく、頭屋株を持つ家でなければならないと定める場合がある。頭屋は1年交代が多いので一年神主と呼ばれる。頭屋の中で交代しないで世襲的な頭屋を常頭屋と呼ばれ、こういう家が神主家となった。
③ 神態(神事): 祭の中心となる神事のことである。現在は全国の神職の行う祭儀は、明治以降定められた神社祭礼によってどこの祭りもほぼ一様である。しかし神社によっては昔からの伝えによった神事を執り行うところもある。っこれを特殊神事と呼ぶ。現行祭式は神前に供物を捧げ、神事の代表的なものは舞と神楽である。神楽は今や芸能化しているが、もとは神が出現して神言を述べることであった。神楽は音楽につれて舞を舞う者が祭具を手にしそこへ神霊を依らしむので、巫女舞は神が依り付いた人となる。巫女が神意を伝えるのである。神事の中で最も華やかなものは神幸である。御輿を奉じて行く祭りが多い。神幸には風流と言われる各種芸能が付随する。山車、屋台鉾などが繰り出される。神事のすべてを見るには、京都八坂神社の夏祭「祇園会」が適している。
④ 神供: まずお神酒がある。例えば山の神を祭るには、竹で作った折掛樽という物にお神酒を入れて供える。神供はそれを神と人とがともにいただくものであることから、人が食べるような状態(料理にして)出すのが本式である。日本の祭りには神供として海のものを供えることである。
⑤ 祭日: 祭はたいてい祭日が決まっている。臨時祭りにも毎年恒例として行われる祭りもある。月では15日が多い。だいたい満月の明るい夜に行うからである。または上弦・下限の日、七、八日か二十三、四日が多い。季節は春と秋が一般的である。夏祭りは都会的である。祭りにかかる費用が膨大なものになるので、数年に1回の大祭として行う場合もある。冬まつりには御火焼きをするところが多い。 

(つづく)
        
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