ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート ニュートン著 鳥尾永康訳 「光学」 (岩波文庫)

2016年11月05日 | 書評
太陽の白色光が屈折率を異にする色光の複合であることを発見した「ニュートンの光学」の集大成 第3回

1) 初めに(確率論の手法)

光とは振動数で規定される電磁波で、普通は振動数の小さい(波長の長い)順にいうと、ラジオ波、テレビ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線という風に呼びます。太陽の光というと、スペクトルの強弱はありますがこれらすべての光を含むものです。可視光は赤から紫までの色からなります(虹)が連続した色を含み、単色光はレーザーのように人工的に作り出せます。ニュートンは光が粒子から成り立つと考えましたが、結論的に正しいのですが部分的には間違っています。光は放射線検知器(ガイガーカウンター)のように、粒子がぶつかるときの音として実感できます。この装置を「光電倍増管」といいます。一個の光が入るとそれが何段もの電圧をかけた電極で増幅され「カチン」という音を出す仕掛けです。光の強い弱いという尺度はカチンという音の強さではなく、音の出る間隔(頻度)できまることから、アナログではなくデジタルつまり光が粒子であることを証明しています。これから光のごく普通の性質である、直進、ガラス屈折、鏡面反射、虹の分光、レンズの集光といった、ニュートン光学で光線として幾何学的に作図される現象を見てゆきます。まず光は光源から発せられ四方八方(球の全方位)に放射されますが、なぜかニュートンは光源と観察者の目を結ぶ直線にしか注目しません。光は目的意識的に直進するわけではありません。そして反射の場合も光学では光源と観察者の鏡面の中間位置で反射されるように描き、それが最小距離であることは容易に幾何学で証明できますが、光は観測者を意識して着地点まで計算して進むものではないでしょう。あらゆる光線の方向が組み合わされて反射光の分布があるべきなのです。最小光路が一番強いだけなのです。繰り返しますが、自然がなぜそのような振る舞いをするかはだれも説明できません。ニュートン光学は近似的な説明であって、光学機械「カメラ、分光器など)の設計にはそれで十分なのでしょう。当たり前の部分反射という現象を考え出すと、ニュートンもだいぶ悩まされたそうです。たとえばガラスの表面による光の部分反射とは光源から出た光(レンズで集光され平行光束となって直線的に進むと仮想してください)100という明るさの光がガラスの表面で4だけ反射されて戻り、あとの96という光はガラスの中へ入ります。なぜ4%の反射なのでしょうか。しかもその反射率はガラスの材質や表面によって異なります。(ナトリウムガラス、白ガラスの透過率は各86%、92%というふうに) これを説明するため物理学者はいろいろな珍説(穴あき説など)を出しました。結局物理学者は確率という概念にたどりつきました。それが真実かどうかは別にして実験結果を見事に説明してくれました。ガラスは厚みを持った板として、表と裏の二つの表面で反射を考えなければなりません。そこでガラスの第2面(裏面)での反射も考慮して、透過して出てくる光の強さを透過率といい、2回の反射によって戻ってくる光の強さを反射率とする。するとガラスの厚みによって、反射率は0-16、透過率は100-84という実験結果でした。しかもガラスの厚みの薄さによってこの反射率の値は繰り返しサイクル(周期関数のように)しています。ごく精密な実験が必要ですが、反射率は0から16まで(平均を8%として)を振幅とする三角関数なのです。ニュートンは反射の場という境界を考え「光の気まぐれ」と言いましたがこれは間違いです。現在でも2つの表面による光の部分反射を説明できる良い物理モデル(説明すること自体が無意味なのでしょうか)はありません。我々は確率を計算するしかないのです。
ニュートン光学が述べる部分反射を考え直すにあたって、確率統計学が提供する手法の約束事を2つだけ述べます。この手法はほかの物理問題を扱うQEDにおいても重要な方法となります。一つ一つの事象の連続過程(または平衡現象)を→でたどってゆき最終矢印を得ること(矢印の足し算)が基本となります。
① 一つの事象の起る確率は矢印の自乗に等しい。つまり4%ということは0.2という長さの矢印(最終矢印)のことです。16%ということは0.4という長さの矢印のことです。酔歩でいったでたらめの方向を統計的に合算すると最終矢印は(ゼロ)元に戻ることです。
② 想像上の時計の針がまわっていて、針の角度が時間もしくは速度に比例する。そこでガラスの全面で跳ね返る光の時計の針の向きは逆(180度)にむけて描くことです。光の進む方向であれなおなじ向きで→を描き、反射は反対方向に→をむけます。だからガラスの第1面と第2面での反射の合計は、0.2という長さの→(第1面)と0.2という長さの←(第2面)の頭と尻を結んで合成するので、非常に薄いガラス厚みでは針はほとんど進まないので最終矢印の長さはゼロとなります。次第にガラスが厚くなると光の時間(光路)差が出てくるので、→足す←の合成は三角形の1辺となりその辺(合成事象)の長さはガラス厚みとともに変化します。第1事象(第1面での反射)の針は固定すると、第2事象(第2面での反射)の針はガラス厚みとともにくるくる回転します。合成された3角形の1辺が最終矢印となり、その最長の長さは→足す→で、180度の位置で長さは0.2+0.2=0.4です。確率は①より0.2×0.2=0.16(反射率16%)となり、ガラス厚みと連動して反射率は(ゼロを最小とし、16を最大とし、平均を8とする)周期関数となります。またこの矢印は確率論では「事象の確率振幅」と呼びます。つまりある事象の確率振幅を計算していることになります。この反射の周期現象は、可視光の波長(波動論の波長という言い方をそのまま採用するとして)による分光を行うことになり、虹現象、あるいは油膜現象(シャボン玉)と呼ばれ美しい玉虫色が周期的に現れることを説明しています。

(つづく)
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