ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第26回
* KHM 36 「おぜんやご飯のしたく」と「金貨を生む騾馬」と「棍棒袋から出ろ」
仕立て屋には三人の息子がいました。自宅用の乳を搾るため山羊を飼っていました。この山羊を草原へ連れ出して放牧することが息子達の仕事でした。山羊は息子らには腹いっぱい食べたと返事をしますが、家へ帰って仕立て屋が山羊に聞くと何も食べてないと返事をします。実に腹黒い山羊ですが、息子らは仕事をサボったということで勘当されましたが、仕立て屋が自分で山羊を放牧して山羊に聞くと家に帰ってからはいつも何も食っていないとうそをいうことに気がつきました。息子を追放した事を後悔して、こんどは山羊の頭を剃って山羊を追い出しました。長男は指物師のところで修行をし、年期奉公が終ったときお膳を貰いました。「お膳や、ご飯のしたく」ととなえると食事が出る重宝なものでした。この魔法のお膳を持って父の元へ帰る途中宿の主人に普通のお膳とすり替えられました。家に帰った長男は父に報告をして仕立て屋は親戚一同を集めて宴を催しましたが、そのお膳は何一つ出しませんでした。これでは面目丸つぶれです。長男は又働きに出ました。こういう話が次男、三男と続きますので省略しますが、次男は粉引き屋に行き、金貨をうむロバを得ますが、これも宿屋の主人にすりかえられます。三男は轆轤細工師のところに働きに出て嚢に入った棍棒を得ます。宿屋の主人はまたすりかえようと忍び込みますが気がつかれて「棍棒嚢から出ろ」と命令されると、宿屋の主人をこっぴどく打ちのめしました。こうして兄たちのお膳と金貨をうむロバを取り返し家に帰りました。こうして父と親戚の人々を喜ばしたという話です。あの腹黒い山羊はどうしたかというと、仕立て屋に追い出されて山には入り、そこを狐、熊、蜂の攻撃を受けて逃げ出したという落ちをつけています。悪い奴ら(魑魅魍魎のやから)がうじゃうじゃいる世の中で暮らすには、よほどの知恵が必要です。
(つづく)
* KHM 36 「おぜんやご飯のしたく」と「金貨を生む騾馬」と「棍棒袋から出ろ」
仕立て屋には三人の息子がいました。自宅用の乳を搾るため山羊を飼っていました。この山羊を草原へ連れ出して放牧することが息子達の仕事でした。山羊は息子らには腹いっぱい食べたと返事をしますが、家へ帰って仕立て屋が山羊に聞くと何も食べてないと返事をします。実に腹黒い山羊ですが、息子らは仕事をサボったということで勘当されましたが、仕立て屋が自分で山羊を放牧して山羊に聞くと家に帰ってからはいつも何も食っていないとうそをいうことに気がつきました。息子を追放した事を後悔して、こんどは山羊の頭を剃って山羊を追い出しました。長男は指物師のところで修行をし、年期奉公が終ったときお膳を貰いました。「お膳や、ご飯のしたく」ととなえると食事が出る重宝なものでした。この魔法のお膳を持って父の元へ帰る途中宿の主人に普通のお膳とすり替えられました。家に帰った長男は父に報告をして仕立て屋は親戚一同を集めて宴を催しましたが、そのお膳は何一つ出しませんでした。これでは面目丸つぶれです。長男は又働きに出ました。こういう話が次男、三男と続きますので省略しますが、次男は粉引き屋に行き、金貨をうむロバを得ますが、これも宿屋の主人にすりかえられます。三男は轆轤細工師のところに働きに出て嚢に入った棍棒を得ます。宿屋の主人はまたすりかえようと忍び込みますが気がつかれて「棍棒嚢から出ろ」と命令されると、宿屋の主人をこっぴどく打ちのめしました。こうして兄たちのお膳と金貨をうむロバを取り返し家に帰りました。こうして父と親戚の人々を喜ばしたという話です。あの腹黒い山羊はどうしたかというと、仕立て屋に追い出されて山には入り、そこを狐、熊、蜂の攻撃を受けて逃げ出したという落ちをつけています。悪い奴ら(魑魅魍魎のやから)がうじゃうじゃいる世の中で暮らすには、よほどの知恵が必要です。
(つづく)