ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 荒畑寒村著 「寒村自伝」 岩波文庫

2012年08月22日 | 書評
老兵が語る、日本労働運動・社会主義革命運動の失敗の歴史 第19回 最終回

 10) 山川新党の挫折ーレッドパージと組合運動
 昭和23年1月、芦田内閣の副総理格であった西尾氏の土建業者献金事件、次いで10月昭和疑獄事件がおき西尾氏が逮捕され、芦田内閣も瓦解した。当時の文部大臣であった森戸辰男氏は社会党機関紙の論文に「社会党はプロレタリアートの階級政党ではなく、産業資本家も含めた国民政党である」と宣言し、連立内閣の中で社会党は分裂した。10月寒村氏と山川氏、小堀氏らは社会主義政党結成準備会に加わった。これを「山川新党」構想という。日本社会党の問題点を、ボス分派の集合体に過ぎず、かつ労働者階級から遊離している浮き草政党であるとし、共産党の組合支配に対して反対し、組合の民主的運動を目指した新党結成を呼びかけたが、この運動は盛り上がらず失敗した。世の中の情勢は騒然として共産党の警察占拠事件、人民電車暴走事件、下山事件、三鷹電車事件、松川列車転覆事件がおき、GHQ の占領政策が急速に反動化しレッドパージが行なわれ、共産党は地下に潜った。社会党は昭和24年4月第4回党大会で党再建運動方針を議論し、左右の分裂が決定的となった。1950年1月の第5大会で右派の片山委員長、左派の江田三郎し、鈴木茂三郎氏らの対立で片山氏は辞任し右派の陰謀は敗北した。ところがその裏で左派、右派、中立派の統一会議が開かれ分裂を回避した。
(完)

筑波子 月次絶句集 「夏日舟行」

2012年08月22日 | 漢詩・自由詩
蒼江隔岸片帆風     蒼江岸を隔て 片帆の風

荻渚移舟避世翁     荻渚舟を移す 避世の翁

雨過千峰清徹骨     雨千峰を過ぎて 清骨に徹し
 
青霄隠映水連空     青霄隠映して 水空に連る


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(韻:一東 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)